マイクロン決算で株価急落はあるか 好業績でも売られる理由を徹底解説

  • 2026年6月20日
  • 2026年6月20日
  • BS余話

半導体メモリ大手のマイクロン・テクノロジー(MU)が、来週水曜、6月24日の市場取引終了後に第3四半期決算を発表します。

同社はこの1年間で株価が817%上昇するという、極めて大きな相場を演じてきました。AIデータセンター向けのメモリ需要拡大を背景に、投資家の期待は一気に高まっています。

ただし、ここで重要なのは「業績が良いから、決算後の株価も必ず上がる」と単純に考えないことです。むしろマイクロンの過去の値動きを見ると、好決算であっても発表直後に株価が下落するケースが少なくありません。

今回は、米投資情報メディア『バロンズ』の2026年6月19日付記事で報じられたデータをもとに、マイクロンの成長力と、投資家が注意すべき短期的な株価反応について考察します。

業績予想が示す異次元の成長力

まず注目すべきは、マイクロンの業績が通常の景気循環を超えるような拡大局面に入っている点です。

ファクトセットの市場予想によると、第3四半期決算では、売上高が前年同期の93億ドルから355億6000万ドルへ拡大すると見込まれています。これは約3.8倍の成長です。

さらに、調整後EPSは前年同期の1.71ドルから20.70ドルへ急増する見通しです。利益水準は約12倍に跳ね上がる計算になります。

成熟した半導体企業で、売上が4倍近くに伸び、利益が10倍以上に増えるというのは極めて異例です。これは単なる短期的な特需ではなく、メモリ需要そのものが新しい段階に入った可能性を示しています。

特にAIサーバーや高性能コンピューティングの拡大により、高帯域幅メモリや高付加価値メモリへの需要が強まっています。マイクロンはその流れの中心にいる企業の一つです。

この点を踏まえると、同社のファンダメンタルズは非常に強い状態にあると考えられます。

それでも決算後に株価が下がる理由

一方で、株式市場では「好決算=株価上昇」とは限りません。むしろ、マイクロンの過去のデータを見ると、好決算後に株価が下落するケースが目立ちます。

マイクロンは過去12四半期連続で市場予想を上回る、いわゆる「ビート」を達成しています。しかし、その12回のうち7回は、決算発表直後の取引セッションで株価が下落しました。

直近の3月決算でも同じ現象が起きています。この決算は過去2年間で最大のビートとされるほど良い内容でした。それにもかかわらず、翌日の株価は3.8%下落しました。

この動きは、典型的な「期待で買われ、事実で売られる」パターンといえます。

株価が過去12か月で817%も上昇している以上、市場はすでに非常に高い期待を織り込んでいます。そのため、決算内容が良くても「想定通り」と受け止められ、短期投資家の利益確定売りが出やすくなります。

つまり、マイクロンの場合、決算の数字そのものが良いかどうかだけでなく、その数字が市場の高すぎる期待をどこまで上回れるかが重要になります。

短期の下落は長期トレンドを否定しない

では、決算後に株価が下落した場合、それはマイクロンの成長ストーリーが崩れたことを意味するのでしょうか。

必ずしもそうではありません。

3月決算の例が象徴的です。決算発表直後、マイクロンの株価は3.8%下落しました。しかし、その後現在に至るまで、株価はさらに168%上昇しています。

つまり、決算翌日の下落だけを見て「失望決算だった」と判断していた投資家は、その後の大きな上昇を見逃した可能性があります。

株式市場では、短期的な需給によって株価が大きく動くことがあります。特にマイクロンのように急騰してきた銘柄では、決算発表をきっかけに利益確定売りが出るのは自然な流れです。

しかし、企業の売上や利益が大きく伸びており、その成長が構造的な需要に支えられているなら、短期的な下落は長期投資家にとって必ずしも悪材料ではありません。

むしろ、ファンダメンタルズが崩れていない限り、決算後の下落は押し目買いの機会になる可能性があります。

長期投資家が見るべきポイント

今回の決算で投資家が注目すべきなのは、単にEPSが予想を上回るかどうかだけではありません。

より重要なのは、今後の需要見通し、利益率の持続性、AI向けメモリ需要の強さ、そして経営陣のガイダンスです。

マイクロンの現在の成長は非常に力強いものの、メモリ業界はもともと景気循環の影響を受けやすい分野です。価格上昇局面では利益が急拡大しますが、供給過剰に転じると業績が大きく悪化するリスクもあります。

そのため、長期投資家は短期的な株価反応だけでなく、今回の好業績がどの程度持続可能なのかを冷静に見極める必要があります。

特に、AIデータセンター需要が一過性ではなく、数年単位で続く構造的な需要なのかどうかが重要です。この点が確認できれば、マイクロンの高い評価は一定程度正当化される可能性があります。

まとめ

マイクロンは、売上高355億6000万ドル、調整後EPS20.70ドルという異次元の業績予想を背景に、非常に強い成長局面に入っています。

一方で、過去のデータを見ると、好決算を発表しても株価が翌日に下落するケースは珍しくありません。過去12四半期連続で市場予想を上回っているにもかかわらず、そのうち7回は決算直後に株価が下落しています。

これは、マイクロンの事業が弱いというよりも、市場の期待がすでに高くなりすぎていることを示しています。

来週の決算でも、仮に素晴らしい数字が発表されたとしても、短期的には株価が下落する可能性があります。しかし、それだけで長期的な成長ストーリーを否定する必要はありません。

本質的に見るべきなのは、マイクロンがAI時代のメモリ需要拡大をどこまで収益に変えられるかです。短期的な値動きに惑わされず、強力なファンダメンタルズと将来の需要構造を見極めることが、長期投資家にとって重要になります。

情報ソース: Barron’s: “Micron Stock Faces Tough Earnings Test. What History Says Happens Next.” (By Adam Clark, June 19, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

*過去記事「マイクロン株はなぜ史上最高値を更新したのか アップルを苦しめるメモリ価格高騰の真相

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