HPE株が時間外で30%急騰 AIインフラ需要はまだ終わっていない

  • 2026年6月2日
  • 2026年6月2日
  • BS余話

米国株市場では、AI関連銘柄への関心が引き続き高まっています。半導体だけでなく、AIを動かすためのサーバー、ネットワーク、データセンター関連企業にも投資家の視線が広がっています。

その中で注目されたのが、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)の2026年度第2四半期決算です。同社は6月1日の米国市場終了後に決算を発表し、売上高、利益、ガイダンスのいずれも市場予想を大きく上回りました。決算発表後の時間外取引では株価が約30%急騰し、AIインフラ関連銘柄としての存在感を一段と高めています。

第2四半期決算は市場予想を大幅に上回る内容

HPEの第2四半期売上高は107 億ドルとなり、ファクトセットが集計したアナリスト予想の97.8 億ドルを大きく上回りました。前年同期の76.3 億ドルからも大幅な増収となっており、AI関連需要の強さが数字に表れた形です。

調整後1株当たり利益(EPS)は79セントでした。こちらも市場予想の53セントを大きく上回り、前年同期の38セントから大きく伸びています。売上高だけでなく、利益面でも力強い成長を示したことは、投資家にとって大きな安心材料となりました。

部門別では、サーバー事業を含む「クラウド & AI」部門の売上高が77.1 億ドルとなり、ウォール街の予想である69.3 億ドルを上回りました。AIモデルの学習や推論に必要な高性能サーバー需要が、依然として非常に強いことを示しています。

また、2025年7月に買収を完了したジュニパーネットワークス(JNPR)を含むネットワーキング部門の売上高は26.9 億ドルとなり、前年同期比で148%増加しました。この成長率は、単なる買収効果だけでなく、AI時代にネットワークインフラの重要性が急速に高まっていることを示しています。

通期見通しの大幅引き上げが示す経営陣の自信

今回の決算で特に注目されたのは、2026年度通期の売上高成長率見通しです。同社は従来の17%〜22%から、29%〜33%へと大幅に引き上げました。

これは、経営陣が今後の受注環境に強い自信を持っていることを示しています。AIサーバーやネットワーク機器への需要が一時的なブームではなく、継続的な成長トレンドになっている可能性が高いと考えられます。

アントニオ・ネリCEOは、2027年度にフリーキャッシュフローの約75%を株主に還元する方針も示しました。AI需要による売上成長を、キャッシュ創出と株主還元につなげる姿勢は、投資家にとって非常に魅力的です。

AIインフラ市場で強まるHPEの存在感

今回の決算が示した最大のポイントは、AIインフラ投資がまだ力強く続いているということです。一部では、AI投資のピークアウトを懸念する声もありました。しかし、HPEの「クラウド & AI」部門の好調な売上を見る限り、企業によるAIインフラ投資はむしろ加速していると考えられます。

AIの活用が広がるほど、企業はより多くの計算能力を必要とします。その中心にあるのが、高性能サーバーです。HPEは、AI向けサーバーの需要拡大を直接取り込める立場にあります。

さらに重要なのが、ジュニパーネットワークスの買収です。AIデータセンターでは、単にサーバーの性能が高いだけでは不十分です。大量のデータを高速かつ低遅延でやり取りするネットワーク性能が、システム全体の効率を左右します。

HPEは、AIサーバーという「計算力」と、ジュニパーネットワークスによるネットワーク技術という「通信力」を組み合わせることで、AIインフラを一体で提供できる企業へと変化しています。この垂直統合の強みは、競合他社との差別化要因になる可能性があります。

デルとHPEの好決算が示す市場全体の拡大

AIインフラ市場の拡大は、HPEだけの話ではありません。競合のデル・テクノロジーズ(DELL)も5月28日に発表した決算で好調な内容を示し、通期の売上高見通しを引き上げています。

このことは、AIサーバー市場で特定の企業だけが勝っているのではなく、市場全体が拡大していることを示しています。AIモデルの高度化、推論需要の増加、企業のAI導入拡大により、サーバーやネットワークへの投資は今後も続く可能性があります。

需要が供給を上回る環境が続けば、ベンダー側の価格交渉力も高まりやすくなります。そのため、HPEのようなAIインフラ企業は、売上成長だけでなく利益率の面でも追い風を受ける可能性があります。

今後の注目点

HPEは、従来のハードウェア企業から、AIインフラを総合的に提供するプラットフォーム企業へと変化しつつあります。AIサーバー、ネットワーク、データセンター向けインフラを一体で提供できる点は、今後の成長を支える大きな強みです。

もちろん、注意点もあります。ジュニパーネットワークスの統合作業が順調に進むか、AI半導体の供給制約に対応できるか、競争激化の中で利益率を維持できるかは、引き続き確認が必要です。

それでも今回の決算を見る限り、HPEはAIインフラ需要の拡大をしっかり取り込んでいます。株価はすでに大きく上昇していますが、AIサーバーとネットワークを組み合わせた事業モデルは、今後も市場から高く評価される可能性があります。

AI投資の主役は、エヌビディア(NVDA)のような半導体企業だけではありません。AIを実際に動かすためのインフラを提供する企業にも、投資機会が広がっています。HPEは、その代表的な銘柄の一つとして、今後も注目すべき存在です。

情報ソース: Barron’s: “HPE Stock Jumps 30% After Earnings Beat. It’s Another AI Beneficiary.” (By Angela Palumbo, June 01, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

*過去記事「オールドテック復活相場が始まった AIインフラ需要で米国株の主役が交代

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