デル株が時間外で30%超急騰 AIサーバー需要が変えた成長シナリオ

テクノロジー業界で長年「PCの巨人」と見られてきたデル・テクノロジーズ(DELL)が、AI時代の主役候補として再評価されています。5月28日のマーケット終了後に発表した第1四半期決算は、市場予想を大きく上回る内容となり、同社が単なるハードウェアメーカーからAIインフラを支える企業へと変貌しつつあることを印象付けました。

これまでデルは、PCやサーバーを手がける成熟企業というイメージが強い企業でした。しかし、生成AIの普及によって企業のデータセンター投資が急拡大するなか、同社のサーバー事業に強い追い風が吹いています。今回の決算は、その流れが一時的な期待ではなく、実際の売上と利益に反映され始めていることを示す内容でした。

第1四半期決算は市場予想を大きく上回る内容

デルの第1四半期売上高は438 億ドルとなり、前年同期の234 億ドルから大幅に増加しました。アナリスト予想の357 億ドルも大きく上回っており、成長の勢いが市場想定を超えていることが分かります。

調整後1株当たり利益(EPS)は4.86 ドルとなり、市場予想の2.96 ドル、前年同期の1.55 ドルを大きく上回りました。売上の伸びだけでなく、利益面でも大きな改善が見られた点は重要です。単に販売数量が増えただけではなく、より高付加価値の製品やサービスが収益性を押し上げている可能性があります。

なかでも注目すべきは、AI最適化サーバーの売上高です。同分野の売上は161 億ドルに達し、前年同期比で757%増という驚異的な成長を記録しました。この数字は、AIブームが半導体企業だけでなく、実際にAIシステムを構築するインフラ企業にも大きな恩恵をもたらしていることを示しています。

通期見通しも大幅に上方修正

同社は第2四半期について、売上高を440 億〜450 億ドル、調整後EPSを4.80 ドルと見込んでいます。いずれも市場予想を大きく上回る水準です。さらに2027年度通期の売上高見通しを、従来の1380 億〜1420 億ドルから1650 億〜1690 億ドルへと大幅に引き上げました。

通期のAIサーバー売上期待も600 億ドルに引き上げられています。これは、企業や政府機関によるAIインフラ投資が今後も継続するという経営陣の強い見方を反映したものと考えられます。AI関連需要が短期的なブームで終わるのではなく、数年単位の設備投資サイクルとして続く可能性が高まっています。

米国国防総省との大型契約も追い風

決算前日の27日夜には、米国国防総省(DOD)との間で5年間、約96 億9000 万ドル規模の契約に合意したことも発表されました。この契約は、国防総省、情報コミュニティ、沿岸警備隊におけるソフトウェア調達を合理化するもので、マイクロソフト(MSFT)のソフトウェアライセンスやクラウドサブスクリプションの調達を可能にする内容です。

この契約は、デルが単なるPCやサーバーの販売企業ではなく、大規模なIT調達やインフラ管理を担うプラットフォーム企業としての役割を強めていることを示しています。政府機関向けの大型契約は、景気変動の影響を受けやすい民間需要を補完する安定収益源にもなります。

これらの発表を受け、28日の通常取引を過去最高値の317.05 ドルで終えていた株価は、時間外取引でさらに30%を超える急騰を見せました。市場は今回の決算を、単なる一度限りの好業績ではなく、同社の成長ステージが変わったサインとして受け止めたと考えられます。

AIゴールドラッシュで注目されるインフラ企業

現在のAI相場では、エヌビディア(NVDA)などの半導体企業や、アンソロピックのようなAI開発企業に注目が集まりがちです。しかし、AIを実際に企業や政府機関が使える形にするには、膨大なサーバー、ストレージ、ネットワーク、冷却技術、保守体制が必要になります。

デルは、まさにこの物理的なAIインフラの構築を担う企業です。AI最適化サーバー売上が急拡大していることは、AI投資が研究開発段階から実際の設備投資段階へ移っていることを示しています。

同社の強みは、大規模なサプライチェーン、企業向け販売網、データセンター向けの製品群、そして長年の顧客基盤にあります。AIサーバー需要が拡大する局面では、新興企業よりも既存の大手インフラ企業が優位に立つ場面が増える可能性があります。

投資家が見るべきポイント

今回の決算で最も重要なのは、デルの収益構造が変わりつつある点です。従来のPC中心の企業であれば、景気サイクルや個人消費の影響を受けやすい面がありました。しかし、AIサーバーや政府機関向け契約の比率が高まれば、成長性と安定性の両方を備えた企業として再評価される余地があります。

もちろん、AIインフラ投資が過熱すれば、将来的な需要減速や競争激化のリスクもあります。また、ハードウェア事業は一般的に利益率が低くなりやすいため、AIサーバー需要がどこまで高収益を維持できるかも注視する必要があります。

それでも、今回の決算とガイダンスは、デルがAIブームの周辺銘柄ではなく、AIインフラ投資の中心に位置する企業へ変わりつつあることを示しています。PCの巨人からAIインフラの覇者へ。同社の再評価は、まだ始まったばかりかもしれません。

情報ソース: Barron’s: “ Dell Stock Soars on Blowout Earnings. The Outlook Bests Analysts by $20 Billion.” (By Angela Palumbo, May 28, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

*過去記事はこちら デル・テクノロジーズ DELL

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