マーベル・テクノロジー(MRVL)が発表した第1四半期(4月期)決算は、AIインフラ需要の強さをあらためて示す内容となりました。2026年5月27日のマーケット終了後に発表された決算では、データセンター向け半導体や光通信関連製品の需要拡大が業績を押し上げ、同社がAI時代の重要企業として存在感を高めていることが確認されました。
第1四半期決算は市場予想を上回る内容
第1四半期の全社売上高は、前年同期比28%増の24 億1800 万ドルとなりました。市場のコンセンサス予想を上回る結果であり、AI関連需要の強さが数字に表れています。
調整後1株当たり利益は0.80 ドルとなり、こちらはアナリスト予想と一致しました。売上高が予想を上回った一方で、利益面では市場の期待通りという評価になります。
特に注目すべきは、データセンター部門の成長です。同部門の売上高は前年同期比27%増の18 億3200 万ドルとなり、全社売上高の中心的な柱となっています。AIサーバー、ネットワーク機器、光通信関連の需要が拡大するなか、マーベルはその恩恵を直接受ける立場にあります。
7月期の見通しも市場予想を上回る
会社側は今四半期(7月期)の売上高について、27 億ドルを中心に上下5%の範囲になるとの見通しを示しました。また、調整後1株当たり利益は0.93 ドルを中心に上下0.05 ドルとしています。
この見通しも市場の事前予想を上回る内容であり、短期的にも成長ペースが続くことを示しています。特にAIデータセンター向けの需要は依然として強く、同社の製品が次世代インフラの中核に入り込んでいることがうかがえます。
さらに、中長期の売上高見通しも大きく引き上げられました。2027年度の全社売上高は約115 億ドル、2028年度は約165 億ドルに達する見込みとされ、それぞれ40%増、45%増という非常に強い成長が想定されています。
この成長を支える要因として、800Gおよび1.6Tのオプティカル・インターコネクト、さらにカスタムチップであるXPUsの需要拡大があげられています。会社側は、これらの分野について今年度70%超の成長を見込んでいます。
AIデータセンターの拡大が追い風に
マーベルの成長を考えるうえで最も重要なのは、AIデータセンターの拡大です。生成AIや大規模言語モデルの普及により、巨大テック企業はデータセンター投資を加速させています。
AIモデルの学習や推論には、膨大な計算能力だけでなく、大量のデータを高速でやり取りする通信インフラが欠かせません。GPUやAIアクセラレーターに注目が集まりがちですが、それらを効率的につなぐネットワーク技術や光通信部品も同じように重要です。
マーベルは、この領域で強みを持っています。データセンター部門の売上高が大きく伸びていることは、同社がAIインフラ投資の中心的な受益企業になりつつあることを示しています。
オプティカル・インターコネクトが次の成長ドライバーに
AIデータセンターでは、サーバー間、チップ間、ラック間で膨大なデータが移動します。この通信量の増加により、従来型の銅線ケーブルでは速度や消費電力の面で限界が意識されるようになっています。
そこで重要になるのが、800Gや1.6Tといった高速オプティカル・インターコネクトです。これは、AIデータセンター内のデータ転送を高速化し、遅延やボトルネックを抑えるために不可欠な技術です。
マーベルがこの分野で70%超の成長を見込んでいることは、単なる一時的な需要増ではなく、AIインフラの構造変化を反映していると考えられます。AIの処理能力が高まるほど、データを動かす技術の重要性も増していきます。
カスタムチップ需要も長期成長を支える
もう一つの注目点は、カスタムチップ需要の拡大です。巨大テック企業は、自社のAIワークロードに最適化した専用チップを開発する動きを強めています。マーベルは、こうしたカスタムチップや周辺半導体の分野でも成長機会を持っています。
カスタムチップ事業の強みは、顧客との関係が深くなりやすい点です。一度設計や開発プロセスに入り込むと、短期間で他社製品に置き換えられにくくなります。そのため、長期的な売上の安定性にもつながる可能性があります。
汎用半導体の価格競争とは異なり、顧客ごとに最適化されたソリューションを提供できる点は、同社の競争力を高める要素です。
株価下落は期待値の高さを反映
決算発表後の時間外取引では、株価は一時3%超上昇したものの、最終的には1.4%下落して終了しました。決算内容や見通しは良好だったにもかかわらず株価が下落した背景には、市場の期待値がすでにかなり高まっていたことがあると考えられます。
同社株は年初から約134%上昇しており、投資家は非常に強い成長シナリオを織り込んでいました。そのため、好決算であっても「期待を大きく超えるほどではなかった」と受け止められた可能性があります。
ただし、これは事業のファンダメンタルズが悪化したことを意味するものではありません。むしろ、AIデータセンター向け需要が力強く続いていることは、今回の決算とガイダンスから明確に読み取れます。
今後の注目点
マーベルは、AIブームのなかでGPUそのものを提供する企業ではありません。しかし、AIデータセンターを動かすために不可欠なネットワーク、光通信、カスタムチップの領域で重要な役割を担っています。
今後は、会社側が示した2027年度、2028年度の強気な売上高見通しを実現できるかが大きな焦点になります。特に、オプティカル・インターコネクトとカスタムチップの成長が計画通りに進むかどうかが、株価評価にも大きな影響を与えると考えられます。
目先の株価は高い期待値との調整局面にあるものの、AIデータセンターの拡大という大きな流れのなかで、同社の戦略的な重要性は高まり続けています。マーベルは、AIインフラ投資の裏側を支える有力企業として、今後も注目すべき銘柄の一つです。
情報ソース: MarketWatch: “Marvell’s stock falls despite ‘exceptional’ AI demand driving a stronger growth outlook” (By Britney Nguyen, May 27, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
*過去記事はこちら マーベル・テクノロジー MRVL
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