マイクロンに1,625ドル予想 AIメモリ不足が変える半導体株の評価軸

  • 2026年5月27日
  • 2026年5月27日
  • BS余話

2026年5月26日の米国株式市場で、マイクロン・テクノロジー(MU)が大きな注目を集めています。株価は午前の取引で急騰し、一時891.27ドルまで上昇しました。これにより、同社の時価総額は一時1兆50億ドルに達し、米国株市場でも存在感を一段と高めています。

今回の急騰によって、マイクロンはウォルマート(WMT)を上回り、米国企業の時価総額ランキングで第11位に浮上する可能性が出ています。

マイクロンの株価上昇は、短期的な材料だけで説明できるものではありません。2026年初来の上昇率は204.5%に達しており、半導体株指数の78.4%上昇、エヌビディア(NVDA)の14%上昇を大きく上回っています。AIブームの中心にある半導体市場の中でも、メモリ半導体への投資家の見方が大きく変わりつつあることを示す動きです。

UBSが目標株価を1,625ドルへ大幅引き上げ

今回の株価急騰のきっかけとなったのが、UBSのアナリストであるティモシー・アルクリ氏による強気なレポートです。同氏はマイクロンの目標株価を従来の535ドルから1,625ドルへと大幅に引き上げました。単純に見ても3倍以上の引き上げであり、884ドルあまりの現在の株価水準から約84%の上昇余地があるとの見方です。

ファクトセットのデータによると、他のアナリストによるマイクロンの目標株価の最高値は1,100ドルにとどまっています。そのため、UBSの1,625ドルという目標株価は、市場の中でも突出して強気な予想と言えます。

この強気判断の背景にあるのは、AI需要の拡大によってメモリ市場の構造が大きく変わるという見方です。AIサーバーやデータセンターでは、高性能なDRAMやNANDメモリの需要が急増しています。これまでメモリ業界は、供給過剰と価格下落を繰り返す景気循環型の業界と見られてきました。しかし、AI向け需要が継続的に拡大することで、従来とは異なる成長局面に入る可能性があります。

DRAMとNANDの供給不足が長期化する可能性

アルクリ氏は、DRAMについては少なくとも2028年第2四半期まで、NANDメモリについては2027年第4四半期まで供給不足が続くと予想しています。これは、マイクロンにとって非常に大きな追い風です。

メモリ半導体は、供給が不足すると価格が上昇しやすくなります。さらに、各社が過去の供給過剰を警戒して設備投資に慎重になっていることも、供給不足を長引かせる要因になります。需要が強く、供給が限られる環境では、マイクロンのような大手メモリメーカーは価格決定力を持ちやすくなります。

特にAI向けの高性能メモリは、単なる汎用品とは異なり、顧客側にとっても安定調達が重要になります。そのため、価格だけでなく供給契約の安定性も重視されるようになっています。

長期契約が収益の安定性を高める

今回のUBSレポートで注目すべきもう一つのポイントは、顧客との長期契約の変化です。従来のメモリ契約は、数量を中心にしたものが多く、価格変動の影響を受けやすい構造でした。

しかし、現在は3〜5年という長期契約の中に、価格を固定する仕組みが組み込まれつつあります。UBSは、業界全体でDDRメモリの最大30%が現在価格をわずかに下回る水準で固定される可能性があると見ています。

これはマイクロンにとって、売上と利益の安定性を高める重要な変化です。メモリ業界はこれまで、市況の悪化によって利益が大きく変動するリスクを抱えてきました。しかし、長期契約と価格固定の仕組みが広がれば、同社の業績は以前よりも予測しやすくなります。

アルクリ氏は、マイクロンの1株当たり利益(EPS)が来年から2029年にかけて100ドルを上回り続けると予想しています。さらに、同期間に4,000億ドル以上のフリーキャッシュフローを生み出す可能性があるとも見ています。

マイクロンはAI時代の再評価銘柄になるのか

UBSが示した1,625ドルという目標株価は、12ヶ月ベースの株価収益率(P/E)15倍を前提にしています。現在、エヌビディアのP/Eが21.4倍で取引されていることを考えると、マイクロンの評価にはまだ上昇余地があるという見方もできます。

もちろん、メモリ業界には景気循環リスクが残ります。AI需要が想定より鈍化した場合や、各社の設備投資が再び拡大した場合、供給不足の見通しが変わる可能性もあります。そのため、今回の急騰だけを見て楽観しすぎることには注意が必要です。

それでも、今回のUBSによる大幅な目標株価引き上げは、マイクロンに対する市場の見方が変わりつつあることを示しています。これまでメモリ企業は、半導体セクターの中でも景気敏感株として扱われることが多くありました。しかし、AIインフラの拡大によって、マイクロンは単なる市況株ではなく、AI時代の基盤を支える企業として再評価される可能性があります。

今後の焦点は、AI需要がどこまで持続するのか、長期契約による収益安定化がどれほど業績に反映されるのか、そして市場がマイクロンをどの程度のバリュエーションで評価するのかです。今回の株価急騰は、メモリ半導体市場が新たな成長局面に入った可能性を示す重要なシグナルと言えます。

情報ソース: MarketWatch: “Micron’s stock soars as UBS slaps on an out-of-sight price target” (By Britney Nguyen, May 26, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

*過去記事「マイクロン株が急騰 AI時代のメモリ半導体はエヌビディアに続く主役になるか

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