エヌビディア(NVDA)は、AIブームの中心銘柄として米国株市場をけん引してきました。しかし、株価が大きく上昇した後だけに、投資家の間では「成長はまだ続くのか」「期待は織り込み済みなのか」という見方が分かれています。
直近では、5月18日の株価が1.3%下落し、222.23ドルとなりました。ただし、5月13日以降の下落率はエヌビディアが1.4%、ナスダック総合指数が1.3%で、ほぼ同水準です。個別の悪材料というより、ハイテク株全体の調整に連動した動きと見られます。
利益成長とバリュエーションのギャップ
注目すべきは、利益成長予測と現在のバリュエーションです。
ウォール街では、エヌビディアの調整後利益について、2027年度に73%増、2028年度に36%増が見込まれています。一方、株価は2028年度の予想利益に対して約20倍のPERにとどまっています。年間30%を超える利益成長が予想される企業としては、抑えられた評価といえます。
この背景には、AI向けGPU需要の持続性やクラウド大手の設備投資、競合企業の追い上げに対する警戒があります。市場は、エヌビディアの成長ピークをある程度織り込んでいる可能性があります。
ただし、業績予測を見る限り、同社の成長力は依然として強力です。市場が過度に慎重になっているのであれば、現在の220ドル台は中長期投資家にとって注目すべき水準と考えられます。
決算発表とComputexが株価の焦点に
エヌビディアの再評価には、投資家の不安を打ち消す材料が必要です。その意味で、今週5月20日の第1四半期決算と、6月上旬に台湾で開かれるComputexは重要なイベントになります。
決算では、AIデータセンター向け需要の強さ、今後の見通し、粗利益率の維持が焦点です。Computexでは、ブラックウェル・ウルトラやルービンといった次世代GPUのロードマップに注目が集まります。
AI市場では、チップの性能だけでなく、GPU、ネットワーク、ソフトウェア、開発環境、クラウド企業との関係を含めた総合力が問われます。エヌビディアはこの点で依然として優位にあります。強力な製品計画が示されれば、成長鈍化への懸念が後退し、株価の再評価につながる可能性があります。
競争激化でもウォール街は強気
AIチップ市場では、セレブラス・システムズ(CBRS)のような新興企業も登場しています。新規上場企業が注目されることは、AI半導体市場の大きさを示す一方、競争激化というリスクも意味します。
クラウド大手の自社開発チップや特定用途向けAIチップが広がれば、エヌビディアの優位性が一部薄れる可能性はあります。
それでも、ウォール街の見方は強気です。モルガン・スタンレーは目標株価を285ドルに引き上げ、トップピックに指定しました。キーバンクとD.A.デビッドソンも目標株価を300ドルへ引き上げています。
現在値222.23ドルから見れば、300ドルは約35%の上昇余地を示します。背景には、CUDAを中心とするソフトウェア基盤、AI開発者との結びつき、データセンター向け総合ソリューション、クラウド大手との関係があります。これらが同社の「経済的な堀」となっています。
今は踊り場か、次の上昇前か
現在のエヌビディアは、高い利益成長を維持しながら、株価評価は比較的抑えられている局面にあります。市場はAI投資ブームの持続性を警戒していますが、決算発表で強いガイダンスが示され、Computexで次世代GPUの成長シナリオが確認されれば、投資家心理は改善する可能性があります。
エヌビディアはすでに巨大企業ですが、AIインフラ拡大が続く限り、成長余地は残されています。現在の株価調整は、成長ストーリーの終わりではなく、次の上昇に向けた踊り場と見ることもできます。
今後の注目点は、第1四半期決算、会社側のガイダンス、Computexでの製品ロードマップ、AIデータセンター需要の持続性です。これらが市場期待を上回れば、エヌビディア株が再び300ドルを目指すシナリオは十分に考えられます。
情報ソース:Barron’s “How Nvidia Stock Can Hit $300 After Earnings”(By Mackenzie Tatananni and Adam Clark, May 18, 2026)
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いいたします。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA
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