エヌビディア株はまだ割安か 5.4兆ドル企業に残るAI成長余地

2026年の米国株市場で、引き続き中心的な存在となっているのがエヌビディア(NVDA)です。

AI半導体の圧倒的な勝ち組として知られる同社は、すでに時価総額5.4兆ドル規模の巨大企業となっています。これだけ大きくなった企業に対して、多くの投資家が抱く疑問はシンプルです。

「エヌビディアは、ここからさらに成長できるのか」

米投資情報誌バロンズは5月14日、「Nvidia’s Rally Is Just Getting Started. The Stock Is Still Cheap.」という記事で、エヌビディア株はまだ割安であり、今後さらに上昇余地があるとの見方を示しました。

本記事では、バロンズが取り上げた主なデータを整理したうえで、エヌビディアの成長余地とリスクを、米国株投資家の視点から考察します。

エヌビディアは巨大企業でも成長率が高い

バロンズが注目している最大のポイントは、エヌビディアの利益成長の大きさです。

記事によると、エヌビディアの2026暦年の利益は1900億ドルを超えると予想されています。これは、2022年にサウジアラムコが記録した約1600億ドルを上回り、単一企業の年間利益として史上最高水準になる可能性があります。

通常、時価総額が数兆ドル規模に達した企業は、成長率が鈍化しやすくなります。しかし、エヌビディアの場合は違います。2028会計年度、つまり2027暦年の予想利益は前年比35%増と見込まれており、売上成長率も約80%に達するとされています。

すでに巨大企業でありながら、依然として高成長企業としての特徴を維持している点が、エヌビディアの特異性です。

PERは過去水準より低く、割高感は後退

エヌビディア株については、「すでに上がりすぎではないか」という声もあります。しかし、バロンズは現在の株価バリュエーションに注目し、むしろ割安感があると指摘しています。

同社の次期12ヶ月予想PERは約24倍で、過去のバリュエーションと比較して25%程度のディスカウント水準にあるとされています。また、PHLX半導体株指数(SOX)と比べても5%ほど割安です。

さらに興味深いのは、2025年初頭以降の株価パフォーマンスです。エヌビディア株は、SOX指数に対して70パーセントポイント以上出遅れているとされています。

つまり、エヌビディアはAIブームの中心銘柄でありながら、足元では半導体株全体に対して相対的に出遅れている状態です。これは、今後の業績拡大が続く場合、株価の見直し余地が残っていることを示しています。

AIインフラ投資はまだ止まっていない

エヌビディアの成長を支えているのは、AIデータセンター向けの半導体需要です。

バロンズによると、アマゾン(AMZN)、アルファベット(GOOGL)、メタ・プラットフォームズ(META)、マイクロソフト(MSFT)のハイパースケーラー4社は、2026年にAI関連投資として約7000億ドルを支出する見通しです。

この金額は非常に大きいですが、重要なのは支出能力です。4社合計のEBITDAは約8000億ドルと予想されており、実質的な純有利子負債はゼロに近いとされています。

これは、エヌビディアにとって大きな追い風です。主要顧客である巨大テック企業が、借入に大きく依存せず、本業で生み出すキャッシュを使ってAI投資を続けられるからです。

AI投資が単なる一時的な投機ブームであれば、金利上昇や資金調達環境の悪化によって急減するリスクがあります。しかし、現在のAIインフラ投資は、世界最大級の企業のキャッシュフローによって支えられています。

この点は、エヌビディアの成長シナリオの安定性を高めています。

供給制約が示すAI需要の強さ

エヌビディアの需要環境を考えるうえで、半導体そのものだけでなく、周辺インフラの動向も重要です。

バロンズの記事では、バーティブ・ホールディングス(VRT)の2025年第4四半期受注が252%増となったことや、ゼブラ・テクノロジーズ(ZBRA)がメモリチップ不足は2027年まで続くと予測していることが紹介されています。

また、アーム・ホールディングス(ARM)やインテル(INTC)も供給制約に言及しており、テスラ(TSLA)やスペースXは自前で半導体工場の建設を進めているとされています。

これらの動きは、AI需要がエヌビディア単体の話にとどまらず、電力、冷却、メモリ、ネットワーク、製造能力といった産業インフラ全体に広がっていることを示しています。

AIブームは単なるソフトウェアの流行ではなく、物理的な設備投資を伴う産業構造の変化になっています。その中心に位置しているのが、AI計算能力を提供するエヌビディアです。

AIエージェント普及はまだ初期段階

もう一つ重要なのは、AIの最終需要がまだ本格的に広がり切っていない点です。

バロンズによると、スマートフォンユーザーのうち、AIエージェントアプリを使ったことがある人はまだ20%にとどまっています。

これは、AIの利用がすでに社会全体に浸透しているように見えて、実際にはまだ初期段階にあることを示しています。現在のAI投資は、主に企業向けのインフラ整備が中心です。しかし、今後スマートフォンやパソコン上でAIエージェントが日常的に使われるようになれば、推論処理の需要はさらに拡大する可能性があります。

AIが検索、買い物、仕事、学習、予約、投資判断などの領域に深く入り込むほど、裏側で必要となる計算資源は増加します。その需要を支える半導体メーカーとして、エヌビディアの役割はさらに大きくなる可能性があります。

バブル警戒と成長期待のバランス

もちろん、エヌビディア株にリスクがないわけではありません。

AI関連株にはバブル警戒感もあります。バロンズの記事でも、「AI bubble」という検索数が前年比で大きく増えていることが紹介されています。市場参加者の間で、AI投資の過熱を警戒する見方が強まっているのは事実です。

また、エヌビディアは中国向け半導体規制、顧客企業による内製チップ開発、供給制約、競合の追い上げといった複数のリスクにも直面しています。

ただし、現在のエヌビディアは、単に期待だけで買われている銘柄ではありません。利益、売上、顧客の投資余力、供給不足、AI利用率の低さという複数の要素を見ると、ファンダメンタルズに支えられた成長局面が続いていると考えられます。

まとめ

バロンズの記事が示しているのは、エヌビディアがすでに巨大企業でありながら、なお成長の余地を残しているという見方です。

2026暦年の利益は過去最高水準に達する可能性があり、売上成長率も高水準です。一方で、予想PERは過去水準より低く、SOX指数に対しても割安感があります。

さらに、アマゾン、アルファベット、メタ、マイクロソフトによる巨額のAIインフラ投資は、エヌビディアの需要を支える強力な基盤となっています。加えて、AIエージェントの普及率がまだ低いことは、今後の推論需要拡大という大きな成長余地を示しています。

エヌビディア株は、短期的には過熱感や規制リスクに左右される場面もあるはずです。しかし、AIインフラの中核企業としての地位、顧客企業の財務力、未開拓市場の大きさを考えると、同社の成長ストーリーはまだ終わっていないと見ることができます。

情報ソース:Barron’s “Nvidia’s Rally Is Just Getting Started. The Stock Is Still Cheap.”(By Al Root, May 14, 2026)

※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

🎧この記事は音声でもお楽しみいただけます。AIホストによる会話形式で、わかりやすく、さらに深く解説しています。ぜひご活用ください👇

最新情報をチェックしよう!