AIブームの中心銘柄といえば、エヌビディア(NVDA)やアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)などのGPUメーカーを思い浮かべる投資家が多いかと思います。これまでのAI相場では、どれだけ高速に計算できるかが大きな焦点でした。
しかし、AIインフラが拡大するにつれて、次の課題は「計算能力」だけではなくなっています。大量のデータをいかに速く、低消費電力で移動させるかが重要になっています。AIデータセンターでは、GPU同士、サーバー同士、ラック同士を結ぶ通信の効率が、全体の性能を左右する段階に入っています。
この流れの中で注目されているのが、半導体受託製造大手のグローバルファウンドリーズ(GFS)です。同社は2026年5月4日、新たなコパッケージド・オプティクス(CPO)技術「SCALE」を発表しました。この技術は、同社がAI時代の隠れた受益者として再評価されるきっかけになる可能性があります。
銅線の限界を超えるシリコンフォトニクス
現在のAIデータセンターでは、データ通信の多くが銅線ベースの接続に依存しています。しかし、通信速度が高まるほど、銅線は発熱や消費電力の面で限界に近づきます。AIモデルが巨大化し、データセンター内で移動する情報量が爆発的に増えるほど、この問題は深刻になります。
そこで期待されているのが、光を使ってデータをやり取りするシリコンフォトニクスです。グローバルファウンドリーズの「SCALE」は、光トランシーバーをチップと同じパッケージ内に統合する技術です。これにより、従来よりも高速で効率的なデータ転送が可能になります。
言い換えれば、AIデータセンターの中を流れるデータの「血管」を、より太く、より省エネにする技術です。AIインフラの投資テーマがGPUそのものから、電力、冷却、通信、光学ネットワークへ広がる中で、グローバルファウンドリーズの存在感は高まりつつあります。
最先端微細化とは違う勝ち筋
グローバルファウンドリーズは、TSMC(TSM)のように最先端の微細化プロセスで競争する企業ではありません。そのため、AI半導体相場の中ではやや地味な存在と見られてきました。
しかし、AIインフラの課題が複雑化するにつれて、最先端プロセスだけが勝ち筋ではなくなっています。シリコンフォトニクス、無線通信、電源管理、エッジコンピューティングなど、用途特化型の半導体技術にも大きな価値が生まれています。
今回の「SCALE」が重要なのは、グローバルファウンドリーズが単なる製造請負企業ではなく、AI時代の通信ボトルネックを解決する技術企業として評価される可能性を示した点です。
同社のプラットフォームは、エヌビディア、ブロードコム(AVGO)、AMDなどが関わる光接続の業界仕様を上回ったとされています。これは、グローバルファウンドリーズがシリコンフォトニクス分野で高い技術力を持つことを示す材料です。
株価は長く出遅れてきた
一方で、株式市場におけるグローバルファウンドリーズの評価は、これまで決して高くありませんでした。2022年8月の投資家説明会以降、同社株は半導体指数に対して大きく出遅れてきたと指摘されています。
その背景には、最先端AI半導体の主役ではないことや、成長期待がエヌビディアやブロードコムなどに集中してきたことがあります。投資家の多くは、AIブームの中心をGPUやAIアクセラレーターと見ており、ファウンドリの中でもグローバルファウンドリーズは相対的に注目度が低い存在でした。
しかし、キャンター・フィッツジェラルドが同社の投資判断を「オーバーウェイト」に引き上げ、目標株価を80ドルに設定したことは、市場の見方が変わり始めたサインとも受け止められます。アナリストは、同社がシリコンフォトニクス市場で小さなシェアを獲得するだけでも、企業規模から見れば大きな成長機会になると見ています。
成長ドライバーはAIだけではない
グローバルファウンドリーズの成長機会は、AIデータセンター向けのシリコンフォトニクスだけに限られません。
同社は、エッジコンピューティング、産業向け半導体、通信、衛星関連技術などでも強みを持っています。AIがクラウドだけでなく、工場、自動車、通信機器、宇宙インフラへ広がっていくなら、こうした分野に対応できる半導体製造能力の価値は高まります。
特に、AIインフラの第2フェーズでは、単に高性能なチップを作るだけでなく、それらを効率よく接続し、低消費電力で運用することが重要になります。グローバルファウンドリーズの「SCALE」は、まさにこの課題に対応する技術です。
グローバルファウンドリーズは隠れたAI銘柄となるか
AI相場は、エヌビディアを中心としたGPU主導の段階から、データセンター全体の効率を高めるインフラ投資の段階へ広がりつつあります。その中で、通信のボトルネックを解消する光学技術は、今後さらに重要なテーマになる可能性があります。
グローバルファウンドリーズは、これまでAI関連銘柄として大きく注目されてきたわけではありません。しかし、シリコンフォトニクスという分野で存在感を高めることができれば、同社はAIインフラの隠れた主役として再評価される可能性があります。
もちろん、技術の商業化がどの程度進むのか、大手顧客との採用がどこまで広がるのかは今後の確認が必要です。それでも、AIインフラのボトルネックが「計算」から「接続」へ移るなら、グローバルファウンドリーズは見過ごせない企業の一つです。
これまで出遅れてきた株価が、シリコンフォトニクスという新たな成長テーマを織り込み始めるのか。グローバルファウンドリーズは、AIポートフォリオの中で過小評価された存在として、今後注目度を高める可能性があります。
情報ソース: MarketWatch: “Optics is the next big AI bottleneck. This company could be an underrated beneficiary.” (By Britney Nguyen, May 4, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
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