AIブームの次の本命は冷却株 データセンター水需要で注目の関連銘柄

  • 2026年4月19日
  • 2026年4月19日
  • BS余話

AI関連株の上昇が続くなか、市場の関心は半導体やクラウド企業だけでなく、AIインフラ全体へと広がっています。その中で、今後ますます重要性が高まるとみられているのが、データセンターの「冷却」です。

生成AIの進化によって、データセンターではこれまで以上に高性能なGPUやサーバーが大量に稼働するようになりました。その結果、避けて通れない問題として浮かび上がっているのが、膨大な熱の処理と、それを支える水資源の確保です。

バロンズの2026年4月16日付の記事では、AIデータセンターに関連する水使用量や冷却技術の変化、そして恩恵を受ける可能性がある企業群について取り上げられていました。この記事から見えてくるのは、AIの成長が続くほど、冷却という一見地味な領域が重要な投資テーマになっていくという現実です。

AIの普及が押し上げる水需要と冷却需要

モルガン・スタンレーによれば、AIデータセンターにおける水使用量は2028年までに1兆リットルに達する可能性があるとされています。これはオリンピック用プール約40万杯分に相当する規模です。

これまで主流だった空調ベースの冷却システムは、エヌビディア(NVDA)のH100世代までは一定の対応が可能でした。しかし、さらに高性能な次世代チップが普及していくと、従来型の冷却方式では熱処理が追いつかなくなる懸念があります。

そのため、今後はプロセッサに直接冷却板を取り付ける「ダイレクト・トゥ・チップ冷却」や、サーバー全体を液体で冷やす「液浸冷却」といった新たな手法への移行が加速していく可能性があります。ここで重要なのは、冷却効率の改善が単なるコスト削減ではなく、データセンター運営そのものを左右する経営課題になってきた点です。

AI向け設備投資が拡大するほど、こうした冷却関連技術への需要も長期的に増えていく構図が見えてきます。

冷却市場で進む2つの大きな流れ

今回注目される企業群を整理すると、冷却市場では大きく2つの戦略が進んでいることがわかります。

1つ目は、大手企業によるM&Aを通じた統合戦略です。

イートン(ETN)は2026年3月にボイド・サーマルを買収し、冷却分野の技術者を一気に取り込みました。フランスのシュナイダーエレクトリックも、ダイレクト・トゥ・チップ冷却に強みを持つモティベアの株式75%を取得しています。さらに、トレイン・テクノロジーズ(TT)は液浸冷却を手がけるリキッドスタックを買収しました。

これらの動きから見えてくるのは、データセンターでは電力供給と冷却が一体で求められているという点です。顧客からすれば、電力設備と冷却システムを別々に導入するより、まとめて提供してくれる企業の方が使いやすいはずです。実際、トレイン・テクノロジーズのデータセンター向け事業では、2025年第4四半期の受注が前年同期比120%増となっており、統合提案への需要の強さがうかがえます。

2つ目は、専業化によって企業価値を高める戦略です。

モーディン・マニュファクチャリング(MOD)は、自動車部品事業を切り離し、冷却関連に軸足を移す方針です。また、ハネウェル(HON)から分離独立したソルスティス・アドバンスド・マテリアルズ(SOLS)も、冷媒や特殊素材の分野で注目されています。

株式市場では、複数事業を抱える企業よりも、成長分野に集中するピュアプレイ企業が評価されやすい傾向があります。とくにAI関連のようにテーマ性が強い分野では、その傾向がより鮮明です。冷却専業としての色合いを強める企業は、今後さらに投資家の関心を集める可能性があります。

すでに表れている業績面での追い風

このテーマが単なる将来期待にとどまらないことは、足元の数字からも読み取れます。

その代表例がバーティブ・ホールディングス(VRT)です。同社は電力と冷却の統合ソリューションを持つ企業として知られていますが、第4四半期の受注高は前年同期比252%増と非常に強い伸びを示しました。さらに、2026年の1株利益予想も従来より40%上方修正されています。

このような数字は、AI関連の設備投資が本格化する中で、冷却分野がすでに実需を伴う成長局面に入っていることを示しています。GPUやサーバーが増えれば、それを安定的に動かすための冷却設備も不可欠になります。つまり、冷却企業はAI投資拡大の恩恵を受ける「周辺銘柄」ではなく、AIインフラの中核を支える存在として見直される余地があります。

AI時代の「ツルハシ」を握る企業に注目

19世紀のゴールドラッシュでは、金そのものを掘る人よりも、ツルハシや作業着を供給した企業の方が安定して利益を得たといわれます。AIブームにおいても、似た構図が起きるかもしれません。

半導体そのものに注目が集まりやすい一方で、実際にAIを社会実装していくためには、電力、冷却、水、素材といった基盤技術が欠かせません。とくに今後は、AIの高性能化と環境負荷の抑制を両立する必要があるため、冷却関連企業の存在感はさらに高まっていく可能性があります。

イートン、シュナイダーエレクトリック、バーティブ・ホールディングス、モーディン・マニュファクチャリング、トレイン・テクノロジーズ、ソルスティス・アドバンスド・マテリアルズは、そうした流れの中で注目される銘柄群といえます。AI投資の本命銘柄だけでなく、その成長を支えるインフラ企業まで視野を広げることが、これからの投資判断ではますます重要になりそうです。

情報ソース: Barron’s: “6 Stocks That Can Benefit From the Massive Amount of Water That AI Data Centers Need” (By Al Root, April 16, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

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