サンディスクはまだ上がるのか 2600%高でも強気が続く理由を分析

  • 2026年4月10日
  • 2026年4月10日
  • BS余話

過去1年間、株式市場で最も熱狂的な視線を集めた銘柄を一つ挙げるとすれば、間違いなくサンディスク(SNDK)と言えます。わずか1年で株価が2600%近くも急騰するという、歴史的な大相場を演じています。

この常軌を逸したかのような上昇劇に対し、市場の一部からは「バブルではないか」という警戒の声も聞こえてきます。しかし、現在の市場環境と技術動向を紐解くと、この株価上昇は単なる投機ではなく、AI(人工知能)という新たな産業革命がもたらす「構造的な需要の爆発」を正確に織り込んでいるプロセスであることが見えてきます。

本記事では、直近のデータと市場動向を基に、サンディスク、そしてメモリ市場全体の今後の将来性について独自に考察します。

競合を凌駕する圧倒的成長:AI時代の「つるはし」としての価値

まず注目すべきは、サンディスクの特異な立ち位置です。過去1年でS&P 500が29%の上昇、同業のマイクロン・テクノロジー(MU)が473%の上昇を見せる中、サンディスクの2567%という上昇率は群を抜いています。

この背景には、DDRメモリおよびNANDフラッシュメモリの異常とも言える価格高騰があります。第1四半期にDDRが前期比で平均95%、NANDが同80%も急騰したという事実は、AIデータセンターの構築においてメモリ供給が全く追いついていない「深刻なボトルネック」が発生していることを示しています。

ゴールドラッシュ時代において最も利益を上げたのは、金を掘った者ではなく「つるはし(採掘道具)」を売った者でした。現代のAI開発競争において、AIモデルを稼働させるために不可欠な大容量メモリはまさに「最強のつるはし」と化しており、その需要の恩恵をサンディスクが最大限に享受できる体制が整っていると分析できます。

グーグルの「TurboQuant」は脅威か、それとも起爆剤か?

一方で、メモリ市場の将来に対する懸念材料も存在します。それが先月発表されたアルファベット(GOOGL)の新しい圧縮アルゴリズム「TurboQuant」の存在です。この技術によりAIモデルのキーバリューメモリサイズが少なくとも6分の1に削減されたという事実は、一見すると「メモリ需要の大幅な減少」を意味するように思えます。

しかし、テクノロジーの歴史を振り返ると、これはむしろ「AI普及のメガ・カタリスト(巨大な起爆剤)」になる可能性が高いと考えられます。

コンピューティングの世界では、ソフトウェアやアルゴリズムの効率化(=コスト低下)は、リソースの節約ではなく「利用用途の爆発的な拡大」をもたらしてきました。メモリ消費量が6分の1になれば、これまでコスト面でAIを導入できなかった中小企業や、スマートフォン・IoT機器などの「エッジデバイス」でのAI稼働が容易になります。

結果として、一つのAIモデルあたりのメモリ使用量は減っても、世界中で稼働するAIモデルの数が何百倍にも膨れ上がることで、マクロ視点での「物理的な総メモリ需要」は過去最大規模に膨れ上がると予想されます。TurboQuantはメモリ株の売り材料ではなく、長期的なパイの拡大を約束する技術革新と捉えるべきです。

ウォール街の強気姿勢が意味するもの

こうした将来のポテンシャルを考慮すれば、ウォール街のアナリストたちが強気の姿勢を崩さないのも納得がいきます。

バーンスタインのMark Newman氏が目標株価を1250ドルへ、キャンター・フィッツジェラルドのC.J. Muse氏が1000ドルへと相次いで大幅な引き上げを行ったことは、現在の780〜820ドル台という株価水準でさえ、まだ企業の真の収益力を過小評価しているという機関投資家の共通認識を表しています。

特に、数千パーセント上昇した後にさらに目標株価を上方修正するというアクションは、一時的な需給の逼迫ではなく、2028年以降まで続くような長期的な「スーパーサイクル」に突入したという確信の表れと言えます。

結論

サンディスクの過去1年の劇的な株価上昇は、人類がこれまで経験したことのない規模の計算資源(コンピューティング)需要の波の、まだ「初期段階」を反映したに過ぎない可能性があります。アルゴリズムの進化による効率化はAI市場全体の裾野を広げ、結果的にメモリ需要をさらに強固なものにしていくと考えられます。

短期的には急騰の反動によるボラティリティ(価格変動)に注意が必要ですが、長期的な成長シナリオには全く揺るぎがないと評価できます。

情報ソース: Barron’s: “Sandisk Stock Jumps. Wall Street Sees Even More Gains After Staggering 2,000% Rally.” (By Angela Palumbo, April 09, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

*過去記事「マイクロンとサンディスクに売り圧力 TurboQuant登場で市場は何を織り込んだのか

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