エヌビディア(NVDA)の株価が直近1ヶ月で7.3%下落するなど、市場にはアルファベット(GOOGL)のTPU(Tensor Processing Units)との競争激化を懸念する声が広がっています。しかし、短期的なセンチメントの悪化とは裏腹に、機関投資家の視点は依然として強気であることが、最新の市場データから読み取れます。
今回は、J.P.モルガンの最新レポートとエヌビディアの新たな動きをベースに、同社の将来性と現在の株価位置について考察します。
1. 「感情」と「実需」の乖離
市場参加者が最も注目すべきは、株価の調整局面における「実需」の強さです。 現在の株価は176ドル近辺で推移していますが、J.P.モルガンは目標株価を250ドルに設定し、投資判断「オーバーウェイト」を維持しています。この強気の根拠として挙げられているのが、膨大な受注パイプラインの存在です。
競合他社の台頭というニュース見出しで投資家心理が揺らぐ一方で、実際の受注残は極めて堅調であることを示唆しています。つまり、現在の株価下落はファンダメンタルズの劣化ではなく、過度な懸念による一時的な調整である可能性が高いと考えられます。
2. オプション市場が示唆する「底堅さ」
J.P.モルガンのアナリストが提案しているオプション戦略(プット売り)からも、プロの相場観が見て取れます。 具体的には、2026年3月満期、権利行使価格160ドルのプット・オプションを売るという戦略が推奨されています。
これを分析すると、アナリストは以下のシナリオを想定していると思われます。
- 下値の限定:権利行使価格を現在の株価(約176ドル)より低い160ドルに設定していることは、ここからさらに暴落するリスクは低いと見ている証拠です。
- 実質的な買い意欲:この取引の損益分岐点は151.50ドルと試算されています。万が一株価が下がっても、この価格帯であれば喜んでエヌビディア株を取得する価値があるという、強力なバリュエーションの裏付けとも受け取れます。
単なる「買い推奨」以上に、具体的なデリバティブ戦略を通じた提案は、同社の株価に対する強い信頼感の表れと言えます。
3. ソフトウェアエコシステムによる「守り」の強化
ハードウェア(チップ)競争への懸念に対し、エヌビディアはソフトウェア面での支配力を強化することで対抗しています。 同社が新たに発表したオープンAIモデルファミリー「Nemotron 3」は、スタートアップ企業がAIエージェントを迅速に構築・反復することを支援するものです。
これは単なる新製品発表以上の意味を持ちます。開発者がエヌビディアの環境(エコシステム)に依存する構造を強化することで、グーグル等の競合他社への乗り換え障壁を高める「堀(Moat)」を構築していると評価できます。ブロードコム(AVGO)などの同業他社が決算を受けて株価を大きく下げる中、エヌビディアが自社のペースでエコシステム拡大を続けている点は、長期的な競争優位性を担保する材料です。
結論
グーグルとの競争懸念による7%超の株価下落は、長期的な成長ストーリーを信じる投資家にとっては、むしろエントリーの機会と言えるかもしれません。J.P.モルガンが指摘する「膨大な受注残」と「下値の堅さ」は、目先のノイズに惑わされず、冷静に企業の価値を見極める重要性を教えてくれています。
情報ソース: Barron’s: “Nvidia Stock Rises. J.P. Morgan Sees an Options Opportunity.” (By Adam Clark, Dec. 15, 2025)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
*過去記事はこちら エヌビディアNVDA
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