「次のエヌビディア」を探せ―量子コンピュータ市場2,050億ドルへの胎動と、米国みずほが選ぶ3つの勝者

  • 2025年12月14日
  • 2025年12月14日
  • BS余話

AIブームが一段落し、市場は「次の爆発的成長セクター」を血眼になって探しています。そんな中、12月11日のマーケットウォッチにて、米国みずほ証券のアナリスト(ビジェイ・ラケシュ氏)による非常に興味深い量子コンピュータ関連のレポートが取り上げられました。

今回は、このレポートで提示された驚くべき数値予測を紐解きながら、イオンキュー(IONQ)、リゲッティ・コンピューティング(RGTI)、ディーウェーブ・クオンタム(QBTS)の3社がなぜ「買い」推奨(アウトパフォーム)とされたのか、その将来性を分析します。

1. 「2,050億ドル市場」への非連続的な成長

まず注目すべきは、市場規模の拡大スピードです。 現在のイオンキュー、リゲッティ・コンピューティング、ディーウェーブ・クオンタム3社の合計売上高は、今年わずか1億4,000万ドル(約200億円強)に過ぎません。しかし、米国みずほの予測では、10年後には量子コンピュータ市場全体が2,050億ドル(約30兆円規模)に達する可能性があるとしています。

これは何を意味するのでしょうか。 現在の数字はあくまで「研究開発段階」の産物であり、今後10年で産業構造が激変する「Jカーブ」の入り口に立っているということです。

特に重要なのが2030年のマイルストーンです。 2030年の市場規模(TAM)は150億ドル、上記3社の予想合計売上は50億ドルと予測されています。

つまり、米国みずほのアナリストは、この3社だけで市場の36%を寡占すると見ています。AI市場におけるエヌビディア(NVDA)のような「勝者総取り(または少数精鋭)」の構図が、量子コンピュータの世界でも再現される可能性が高いという分析です。

2. 技術的転換点:なぜ「今」なのか?

長年「夢物語」と言われてきた量子コンピュータですが、投資タイミングとしてのシグナルが点灯しつつあります。その根拠となる事実情報が、業界全体で「誤り訂正された論理量子ビットが1,000個に到達しつつある」という点です。

これは、実験室レベルから実用レベル(スケーリング)への移行を示唆しています。株価は実用化がニュースになる前に、技術的マイルストーンの達成を織り込みに行きます。過去2年ですでに株価が数倍から20倍になっている銘柄もありますが、本格的な普及期(2030年から2040年)を見据えれば、まだ初動段階と言える可能性があります。

3. 個別銘柄分析:三者三様の「勝ち筋」

米国みずほがカバレッジを開始した3社は、それぞれ異なるアプローチと強みを持っています。提示された目標株価と事実情報から、それぞれの投資妙味を読み解きます。

① イオンキュー:信頼性の高い「本命」リーダー

目標株価は90ドルで、現在値からプラス74%の上昇余地があります。 3社の中で最も時価総額が大きく(170億ドル超)、目標株価も強気です。その理由は「トラップ・イオン型」という技術方式にあります。米国みずほはこれを「エラー率が低く、コヒーレンス時間(量子状態を維持できる時間)が長い」と評価しています。 計算の正確性が求められる商用利用において、イオンキューは最も早く実用化の波に乗る可能性があります。長期的には市場シェアの16%を握ると予測されており、ポートフォリオのコアとなり得る存在です。

② リゲッティ・コンピューティング:圧倒的な上昇余地と財務の安全性

目標株価は50ドルで、現在値からプラス91%の上昇余地があります。 今回最も高い上昇余地が示されたのがリゲッティ・コンピューティングです。アルファベット(GOOGL)やIBMと同じ「超伝導方式」を採用しており、競合は大企業ですが、特筆すべきは財務体質です。 4億5,000万ドル以上のキャッシュを持っており、アナリストは「2030年まで事業運営が可能」と見ています。ハイテク・スタートアップ投資における最大のリスクは「資金ショートによる倒産・希薄化」ですが、約5年分の滑走路(ランウェイ)があることは、投資家にとって極めて大きな安心材料です。

③ ディーウェーブ・クオンタム:特化型のアプローチ

目標株価は46ドルで、現在値からプラス71%の上昇余地があります。 ディーウェーブ・クオンタムは「量子アニーリング」という、最適化問題に特化した技術のリーダーです。汎用的な計算よりも、物流や金融などの特定の問題解決において、早期に収益化できる可能性があります。長期シェア予測は10%と堅実です。

結論:ボラティリティを許容できるか

米国みずほのレポートは、量子コンピュータが「次のビッグ・コンピュート革命」であると結論づけています。 2040年にはコンピュート市場全体の16%を量子企業が占めるという予測は、現在の半導体市場の勢力図が塗り替わることを意味します。

ただし、足元の売上はまだ小さく、株価は期待先行で動いています。投資するには、エヌビディアの初期のような乱高下を耐え抜く忍耐力が必要になります。しかし、そのリスクに見合うだけの「夢(アップサイド)」が、提示された数値からは確かに感じ取れます。

情報ソース: MarketWatch: “ Looking for the next Nvidia? This analyst recommends quantum stocks — but patience is required ” (By Britney Nguyen, Dec. 11, 2025)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

*過去記事「量子コンピュータ関連株が再び注目!リゲッティ、イオンキュー、そしてIBMの次の一手

🎧この記事は音声でもお楽しみいただけます。AIホストによる会話形式で、わかりやすく、さらに深く解説しています。ぜひご活用ください👇

最新情報をチェックしよう!