エヌビディアやビットコインを超えた「GEベルノバ」の衝撃:AIと電化がもたらす長期成長シナリオ

  • 2025年12月14日
  • 2025年12月14日
  • BS余話

かつてのコングロマリットの雄、ゼネラル・エレクトリック(GE)の解体プロセスが完了し、それぞれの企業の真の実力が露わになってきました。

市場では「マグニフィセント・セブン」や暗号資産への注目が集まりがちですが、実は最も劇的なリターンを生み出していたのは、オールド・エコノミーの代表格ともいえるゼネラル・エレクトリックからのスピンオフ企業でした。

本記事では、バロンズの最新記事のデータを基に、特に驚異的なパフォーマンスを見せるGEベルノバ(GEV)を中心に、その強さの背景と今後の投資妙味について分析します。

1. 「3分割」がもたらした驚異的なアルファ

まず、ゼネラル・エレクトリックの戦略的な会社分割が投資家にもたらした成果を直視する必要があります。

2021年11月の分割発表時に投資し、スピンオフされた3社(ヘルスケア、エネルギー、航空宇宙)をすべて保有し続けた場合、そのリターンは600%を超えています。これは同期間のS&P500種指数はもちろん、エヌビディア(NVDA)やビットコインのパフォーマンスさえも上回るという衝撃的な事実です。

かつてゼネラル・エレクトリックは「20年間でS&P500種指数に大きく劣後(ゼネラル・エレクトリックがマイナス38%に対し、S&P500はプラス524%)」していましたが、コングロマリット・ディスカウント(複合企業ゆえの過小評価)が解消され、各事業が本来の成長力を取り戻したことが証明されました。

2. GEベルノバ:AIブームの「隠れた本命」

このリターンを牽引しているのが、2024年4月にスピンオフされたエネルギー部門のGEベルノバです。スピンオフ以来、株価は約400%上昇しており、まさにモンスター株へと変貌しました。

なぜこれほど買われるのか?

一般的な認識では、GEベルノバの上昇は「AIデータセンターによる電力需要」と結びつけられがちです。確かにAIブームは追い風ですが、より根源的な需要構造の変化を見逃してはなりません。

バンク・オブ・アメリカのアナリスト分析によれば、電力需要の最大のドライバーは「AI」ではなく、米国経済(住宅・非住宅ビル)の電化であると指摘されています。つまり、AI需要はあくまで最後の一押しに過ぎず、ベースにはより巨大で不可逆的なインフラ転換の需要が存在しているのです。

「再生可能エネルギー」ではなく「ガスタービン」の会社

投資家が認識すべき重要なポイントは、現在のGEベルノバの企業価値の源泉です。JPモルガンの試算によれば、風力発電事業が企業価値に占める割合は1%未満に過ぎません。

現実には、同社の成長を支えているのはガスタービンです。現在、家一軒分ほどの大きさがあるガスタービンの受注残(バックログ)は2020年代の終わり近くまで積み上がっています。

これは、再生可能エネルギーへの移行期において、安定電源としての天然ガス火力の重要性が再評価されていることを示唆しています。受注が10年先まで見えているという収益の可視性の高さは、ハイテク株にはない強力なディフェンシブ性と言えます。

3. 今後の株価とリスク要因

直近のガイダンス発表を受け、株価は1日で16%も急騰しましたが、バンク・オブ・アメリカのアナリストはさらに15%の上昇余地を予測しています。

一方で、明暗が分かれているのがヘルスケア部門であるGEヘルスケア・テクノロジーズ(GEHC)です。スピンオフ以降のリターンは42%にとどまり、S&P500種指数の半分程度です。中国との貿易摩擦や、病院による高額医療機器への投資手控えが響いています。

また、航空宇宙部門であるGEエアロスペース(GE)は、ジェットエンジンの数年分の受注残を抱え好調ですが、サプライチェーンの問題等は常に注視が必要です。

4. まとめ:投資家への示唆

今回のゼネラル・エレクトリックの事例から学べることは、以下の2点です。

  1. 「地味なインフラ」の再評価:AIブームの恩恵は、半導体メーカーだけでなく、それを動かすための電力インフラを提供する企業に波及しており、その需要は極めて長期的かつ堅実であること。
  2. スピンオフの威力:巨大企業の中に埋もれていた優良事業が独立することで、経営資源が集中され、市場評価が一変する可能性。

また、別件ですがウォルト・ディズニーがオープンAIに10億ドルを出資し、動画生成AI「Sora」を活用するというニュースも、伝統的企業がAIを取り込み成長を加速させる動きとして注目に値します。

GEベルノバのような「AI × 伝統インフラ」の組み合わせは、今後数年のポートフォリオにおいて重要な柱となる可能性があります。

情報ソース: Barron’s: “This GE Spinoff Is Beating the S&P 500, Nvidia—and Bitcoin. Here’s How.” (By Jack Hough, Dec. 12, 2025)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

*過去記事「【GEV爆騰】終値15%高!JPモルガンが掲げる「株価1,000ドル」は現実か?

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