前回の記事「AI電力特需の本命か。GEベルノバがウォール街の予想を軽々と超えてきた理由」では、GEベルノバ(GEV)の投資家説明会で発表された強力な中期経営計画の内容について詳しくお伝えしました。
その発表を受け、現地時間12月10日の米国市場は熱狂的な反応を示しました。同社の株価は前日比15.6%高の722.8ドルで取引を終え、過去最高値を更新しています。今回は、この株価急騰の背後にあるウォール街の評価、特にJPモルガンが提示した驚異的な「目標株価1,000ドル」の根拠について深掘り分析します。
JPモルガンが描く「1,000ドル」の根拠とは
投資家説明会での発表内容を受けて、多くのアナリストが評価を見直しましたが、中でも最もインパクトがあったのはJPモルガンのアナリスト、マーク・ストラウス氏の動きです。同氏は目標株価を従来の740ドルから、ウォール街最高値となる1,000ドルへと一気に引き上げました。
すでに発表された数値目標そのものに加え、ストラウス氏が特に評価したのは企業の「価格決定力」です。
企業側は第4四半期の受注活動が好調であることに加え、「各取引でより高い価格設定を試みている」と報告しています。これは、GEベルノバが単なる需要増の波に乗っているだけでなく、市場での支配力を強め、より高い利益率を確保できる立場にあることを示唆しています。供給不足が続く電力インフラ市場において、顧客が高値でも契約を急ぐ状況こそが、1,000ドルという強気なターゲットを正当化する最大の要因と考えられます。
「確信」に変わった受注残高の成長
前回の記事でも触れた通り、グリッド(送電網)電化事業の受注残高は2023年末比で既に倍増しており、2028年までにさらに倍増する見通しです。
市場はこの「倍増」という見通しを、単なる目標数値としてではなく、長期的なスーパーサイクルの確証として受け止めました。「これから受注を狙う」のではなく、「すでに積み上がっている需要」があるため、2028年の業績目標の達成確度は極めて高いと判断されています。
終値ベースで15%を超える上昇は、投資家心理が「期待」から「確信」へと変化したことを明確に物語っています。
バリュエーション論争と市場の結論
投資家説明会後の株価上昇により、現在の予想EBITDA倍率は30倍以上に切り上がっています。スピンオフ時の約17倍や、同業他社平均の約22倍と比較すると、割高感(プレミアム)は無視できない水準です。
実際、グッゲンハイムのアナリストのように「好材料はすでに株価に織り込み済み」として、慎重な姿勢を崩さない専門家もいます。
しかし、市場の大勢はJPモルガン側の見方に傾きつつあります。それは、GEベルノバを従来の「重厚長大産業」の枠組みではなく、AIデータセンター稼働に不可欠な「テクノロジー・イネーブラー」として再評価し始めているからです。高いバリュエーションは、高い成長期待と利益の質の向上に対する対価として正当化されつつあると言えます。
結論:トレンドは新たなフェーズへ
株価は年初来で大きく上昇しており、短期的には過熱感も意識されます。しかし、投資家説明会を通じて経営陣が示した自信と、それに対する市場の力強い反応は、上昇トレンドが新たなフェーズに入ったことを示しています。
722.8ドルという終値は通過点に過ぎず、JPモルガンが提示した1,000ドルという水準も、AI電力需要の拡大が続く限り、現実的なターゲットとして視野に入ってきたと判断できます。
情報ソース: Barron’s: “Why GE Vernova Stock Just Got a $1,000 Price Target from JPMorgan” (By Al Root, Dec. 10, 2025)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
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