株価が過去1年で約70%上昇し、過去最高値を更新しているアルファベット(GOOGL)。これほどの急騰を見ると、「もう高すぎて手が出せないのでは?」と躊躇する投資家も多いかもしれません。
しかし、最新のデータと競合他社との比較を詳細に分析すると、同社の株価上昇には裏付けがあり、依然として魅力的な投資対象であることが見えてきます。本日は、バロンズの最新レポート(2025年11月24日)に含まれるデータを基に、アルファベットの将来性を考察します。
1. 「投資」と「利益」を両立させる驚異的な収益構造
AIブームの中、ハイテク大手(マグニフィセント・セブン)は巨額の設備投資を行っています。通常、投資フェーズでは利益率が圧迫されるのが一般的ですが、アルファベットはこの常識を覆していると言えます。
分析の根拠となる事実として、アルファベットの第3四半期の設備投資額は前年同期の130億ドルから240億ドルへと急増しましたが、税引前利益率は7ポイント拡大し、税引前利益自体も39%増加したことがあげられます。
一方でメタ・プラットフォームズ(META)は、設備投資額を約80億ドルから約190億ドルへ倍増させた結果、税引前利益率は前年比で2ポイント低下しています。
ここから読み取れるのは、アルファベットの圧倒的な「稼ぐ力」と「コストコントロール能力」です。メタが投資負担により利益率を落としているのに対し、アルファベットは投資を倍近くに増やしながら、利益率を劇的に改善させています。これは、既存の検索ビジネスやYouTubeが極めて効率的にキャッシュを生み出しており、それがAIへの巨額投資を吸収してもなお余りあることを示唆しています。この「財務体質の強靭さ」こそが、長期保有における最大のアドバンテージと考えられます。
2. AI競争力の可視化:Gemini 3とユーザーベース
「グーグルはAIで出遅れた」というかつての懸念は、過去のものになりつつあると言えます。
2025年11月18日に新モデル「Gemini 3」が発表されました。これには「Deep Think」等の推論機能強化が含まれています。また、Geminiの月間アクティブユーザー(MAU)は6億5000万人に到達しました。対するオープンAIのChatGPTは週間アクティブユーザー(WAU)で8億人規模とされています。
ChatGPTが先行者利益を持っていることは事実ですが、Geminiが6億5000万人のMAUを抱えるまでに成長した点は見逃せません。特に、今回発表されたGemini 3は、単なる検索補佐ではなく、ソフトウェア開発や高度な推論に対応しており、実務レベルでの不可欠なツールへと進化しています。 ChatGPTとのユーザー数定義の違いにより単純比較はできませんが、アルファベットがその巨大なエコシステムを通じて、猛烈なスピードでギャップを埋めていることは明白です。
3. バリュエーションと成長余地
最高値更新中とはいえ、割高感は限定的であると判断できます。
現在の株価収益率(PER)は26倍です。これはマグニフィセント・セブンの中でメタ(20倍)に次いで2番目に低い水準です。また、グーグル・クラウドの売上予想は、2025年の約570億ドルから、2026年には750億ドルへ成長する見込みです。さらに、著名投資家であるウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイ(BRK.B)が同社株を取得したという事実もあります。
PER26倍という水準は、前述した「39%の利益成長」を考慮すれば、決して割高ではありません。むしろ、利益成長率に対して株価評価が追いついていない「PEGレシオ」の観点からは割安とさえ言えます。 さらに、クラウド部門の売上が翌年にかけて約30%増という強気な市場予想は、AI需要がハードウェアのエヌビディア(NVDA)からサービスへと波及するフェーズに入ったことを示しています。
また、バリュー投資の神様であるバフェット氏が購入に動いた事実は、同社の「独占禁止法リスク」が管理可能な範囲に収まり、本源的価値に対して価格が適正であるという強力なシグナルと解釈できます。
結論:保有継続が賢明か
アルファベットは、巨額のAI投資をこなしながら利益率を高めるという離れ業を実現しています。クラウド事業の成長余地と、妥当なバリュエーションを考慮すれば、最高値圏にある現在でも、手放す理由は見当たりません。短期的には調整が入る可能性もありますが、ファンダメンタルズは極めて強固であると結論付けられます。
情報源: Barron’s “Google Has Been an AI Winner. What to Do With Alphabet Stock Now.” (By Al Root, Nov 24, 2025)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
*過去記事 アルファベット GOOGL
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