2025年も終盤に差し掛かる中、アマゾン(AMZN)の株価が激しい値動きを見せています。11月21日の米国市場において、アマゾンは前日比1.63%高の220.69ドルで取引を終えました。
注目すべきは、この反発の前日である20日時点で、株価が一時、年初来マイナス圏であるマイナス1%にまで沈んでいたという事実です。わずか1日で売り込まれた分を買い戻す展開となりましたが、この変動の激しさは、市場がアマゾンの評価に対して迷いを持っている証拠とも言えます。
なぜ今、アマゾン株はこれほどまでに揺れ動いているのでしょうか。そして、この反発は本格的な上昇の合図なのでしょうか。最新の事実情報に基づき分析します。
逆風でも見逃せない割安感
株価が乱高下する中、投資家が冷静に見るべき指標があります。それは、他のビッグテックと比較した際の割安感です。
現在のPEGレシオ、つまり株価収益成長率は1.4倍です。これに対して、競合他社の中央値は1.9倍となっています。
PEGレシオ1.4倍という数字は、利益成長に対して株価が50%近くディスカウントされていることを示唆します。21日の反発は、前日の下落によってこの割安感が意識され、押し目買いが入った結果とも解釈できます。
モルガン・スタンレーが描く2026年復活の青写真
この割安感が真の買い場であると主張するのが、モルガン・スタンレーのアナリスト、ブライアン・ノワク氏です。同氏は目標株価を315ドルと掲げており、現在の220ドル近辺から見ても約43%の上昇余地があると見ています。
市場のコンセンサスが2026年のAWS成長率は20%で横ばいと慎重な見方をする中、モルガン・スタンレーは以下の根拠で強気な見通しを示しています。
まず、AWSの再加速が挙げられます。AIワークロードの需要増により、2026年の成長率はベースケースで23%、強気シナリオでは25%以上と予測されています。
次に、バックログ、いわゆる受注残の効果です。純新規バックログが600億ドル積み上がれば成長率は25%、750億ドルなら27%に達すると試算されています。
特に、オープンAIとの7年間で380億ドルという巨額契約は、今後のバックログに確実に寄与してくると考えられます。これが数字として表面化した時、市場の慎重論は一変する可能性があります。
懸念材料として浮上するAI投資の採算性
一方で、手放しで楽観できない理由も存在します。ロスチャイルド・アンド・カンパニーのアナリスト、アレックス・ハイスル氏のように、投資判断を「買い」から「中立」へ引き下げる動きもあります。
彼らの懸念はAIワークロードの採算性です。従来のクラウドビジネスに比べ、AIインフラはコストがかさみます。もし売上が伸びても利益率が圧迫されるなら、株価の上値は重くなると予想されます。20日の下落局面では、こうしたAI収益化への疑念が市場を支配したと考えられます。
結論として220ドル台は迷いと期待の分岐点
11月21日の220.69ドルへの反発は、アマゾンの底堅さを示しました。しかし、前日に年初来マイナス圏まで売り込まれた事実は、市場がいまだ疑心暗鬼であることを物語っています。
今後注目すべきは、モルガン・スタンレーが指摘するバックログの積み上げが現実のものとなるかどうかです。第3四半期でAWS売上が前年同期比20%増と堅調だったことを踏まえれば、ビジネスの基礎体力は十分と言えます。短期的な乱高下に一喜一憂せず、2026年の再加速シナリオを信じる投資家にとって、現在の株価水準は魅力的なエントリーポイントであり続けると考えられます。
出典: MarketWatch: “Amazon’s 2025 stock gains just got wiped out. Here’s how it could make a comeback.” by Christine Ji (Nov. 21, 2025)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
*過去記事はこちら アマゾン AMZN
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