「隠れ増配株」が主役に?高配当株が勝てない時代の“本当に狙うべき15銘柄”

  • 2025年11月21日
  • 2025年11月21日
  • 配当株

ここ数年、高配当株投資家にとっては忍耐の時期が続いています。

「配当再投資こそ王道」と信じてVYM(バンガード・米国高配当株式ETF)などを積み立ててきたものの、S&P500の圧倒的なパフォーマンスを前に、歯がゆい思いをしている方も多いのではないでしょうか。

今回は、Barron’s(2025年11月20日付)のデータを基に、なぜ今「高配当」が市場に嫌われているのか、そして次に狙うべき「本当に強い配当株」15銘柄を紹介し、その選定理由を分析します。

なぜ「高配当」は負け続けているのか

まず、残酷な現実を直視する必要があります。Barron’sのデータによれば、過去5年間でVYMはS&P500指数に対し16ポイントも劣後しています。さらに直近2年間に至っては、無配当企業(主にハイテク株など)のパフォーマンスが配当株を約40ポイントも上回るという、過去25年でほぼ最悪の格差が生じています。

S&P500の配当利回りが歴史的な低水準である1.2%付近に沈んでいる事実は、市場が「インカム(配当)」よりも「キャピタル(成長)」を強烈に渇望していることの証明です。

しかし、企業側のファンダメンタルズは決して悪くありません。S&P500企業の配当総額は純利益の約40%に達し、過去1年で約70%の企業が増配しています。つまり、「企業にお金がない」のではなく、「市場が現在の高利回りを評価していない」だけなのです。

「利回り」ではなく「余力」を買う戦略

では、この逆風下でどのような銘柄を選ぶべきか。Trivariate Researchのアダム・パーカー氏が提唱するのは、目先の利回りの高さではなく、「圧倒的な増配余地」と「割安な成長力」を併せ持つ銘柄です。

同氏が選定した銘柄には、S&P500の平均的な配当株とは一線を画す、以下の「黄金比率」というべき共通点があります。

  1. 配当性向が低い(30%未満):利益の多くを再投資に回しており、減配リスクが極めて低い。
  2. 利益成長率が高い(2026年予想で20%超):利益が伸びるため、配当性向を変えずに大幅な増配が可能。
  3. バリュエーションが割安(PER 14倍):S&P500配当株平均の20倍に対し、大きく割安に放置されている。

【全リスト】市場の逆を行く「隠れ増配株」15選

Barron’sの記事で「上記の条件を満たす」として名前が挙げられた15銘柄は以下の通りです。ここには、一般的に高配当イメージのある通信やタバコ株ではなく、成長余地のある多様なセクターが含まれています。

金融・保険

  • キャピタル・ワン・ファイナンシャル (COF):大手銀行・クレジットカード
  • ウェスタン・アライアンス・バンコープ (WAL):地域銀行
  • UMBファイナンシャル (UMBF):金融サービス
  • F&Gアニュイティーズ&ライフ (FG):生命保険・年金
  • ネルネット (NNI):学生ローン・教育ファイナンス

エネルギー・インフラ・公益

  • シェニエール・エナジー (LNG):LNG(液化天然ガス)生産
  • ナビゲーター・ホールディングス (NVGS):LPG・ガス輸送
  • ビストラ (VST):電力・公益事業

テクノロジー・産業

  • ウエスタン・デジタル (WDC):データストレージ
  • ローパー・テクノロジーズ (ROP):産業・医療向け技術ソフトウェア
  • レイドス・ホールディングス (LDOS):防衛・航空宇宙システム統合
  • ユニファースト (UNF):ユニフォーム・ワークウェア提供

その他(素材・一般消費財・ヘルスケア)

  • アングロゴールド・アシャンティ (AU):金鉱山
  • シネマーク・ホールディングス (CNK):映画館運営
  • センコラ (COR):医薬品卸売

リストから読み解く投資のヒント

このリストを眺めると、ウエスタン・デジタル のようなデータストレージ企業や、キャピタル・ワンのような金融株が含まれている点が非常に示唆に富んでいます。これらは単なる「安定配当株」ではなく、景気サイクルやAI需要(ストレージ)、消費動向(金融)の波に乗って利益を大きく伸ばそうとしている企業群です。

また、シェニエール・エナジー のようなエネルギー関連が含まれることは、エネルギー需要の底堅さと、そこから生まれる潤沢なキャッシュフローが株主還元に向かっているトレンドを示しています。

結論:平均利回り1.5%の「中身」を見る

これら15銘柄の平均利回りは1.5%です。「なんだ、低いじゃないか」と切り捨てるのは早計です。

S&P500全体の配当成長が2025年に5%と予測されている中で、これらの銘柄群は利益成長(20%超)を背景に、市場平均を大きく上回るペースで増配を続けるポテンシャルを秘めています。

「高利回り」という看板に飛びつくのではなく、「低PER × 低配当性向 × 高成長」という掛け算で銘柄を選別すること。これこそが、配当を嫌う現在の市場環境において、インカムゲインとキャピタルゲインの両取りを狙える現実的な解となるかもしれません。


出典: Barron’s: “15 Dividend Stocks to Buy in a Market That Hates Payouts” by Al Root (Nov 20, 2025)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

*過去記事はこちら 配当株

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