テスラ株は「自動運転とロボタクシー」で再評価される段階に入ったのか

シュティフェルがテスラ(TSLA)の目標株価を483ドルから508ドルに引き上げたことで、同社の将来性に改めて注目が集まっています。今回の引き上げの根拠となったのは、フルセルフドライビング(FSD)とロボタクシー事業の価値評価です。株価の上昇余地が25%を超えるとされる背景には、テスラが進める「自動運転中心の事業モデル転換」があります。

本記事では、公開された情報を基に、テスラの将来性をどのように評価すべきか整理します。


FSDが抱える“実績と課題”

シュティフェルはFSDだけで186ドル/株の価値を算出しています。この数字は、ソフトウェア収益の潜在力を評価したものであり、すでに12%の車両でFSDが有効化されている事実は付加価値の浸透を示しています。さらに、月額99ドルまたは買い切り8,000ドルという価格設定は、テスラにとって高い粗利を生むストック型収益の柱になります。

ただし、テスラが自動運転の開発で10年以上取り組む一方、規制当局の調査などによって進展が制約されてきた点も無視できません。ソフトウェアによる64億マイル以上の走行実績は技術の成熟を示しますが、事業の本格拡大は規制環境の改善と社会受容の進展が不可欠です。


ロボタクシー事業は“テスラの第二の柱”になり得るか

シュティフェルがロボタクシー事業に158ドル/株の価値を割り当てている点は注目すべきです。現在テスラはオースティンとサンフランシスコ湾岸地域でロボタクシーサービスを提供しており、年末までに5都市への拡大1,500台以上の車両配備を計画しています。

さらに、オースティンでは安全ドライバーの撤廃を予定しており、まさに「完全自動運転サービス」への移行ステージに入っています。専用車両の2026年4月生産開始計画も、事業を量産ベースで展開する準備が整いつつあることを意味します。

このように、ロボタクシーはテスラの成長ストーリーにおける“次の収益エンジン”として現実味を増しています。


オプティマスは“不確実だが巨大な余白”

シュティフェルはテスラの人型ロボット「オプティマス」に29ドル/株の価値を設定しています。この数字は比較的小さいように見えますが、事業がまだ不確実であることを踏まえると妥当な評価です。2026年初頭にデモが予定されているとはいえ、実用性や市場規模は依然として読みづらい領域です。

ただし、テスラがハードウェアとAIを高水準で統合できる稀有な企業である以上、長期的には「ロボット市場」という非常に大きなフロンティアを開拓する可能性を秘めています。


2025〜2026年の基礎収益力は“市場予想を上回る”

シュティフェルはテスラのEBITDAを下記のように予測しています。

  • 2025年:148.6億ドル
  • 2026年:194.9億ドル

これはファクトセット調べのアナリストのコンセンサス予想(2025年131.7億ドル、2026年154.5億ドル)を大きく上回ります。すなわち、シュティフェルはテスラの収益力が市場予想よりも早いペースで回復すると見ています。

一方、2025年第4四半期は米国の税控除期限に伴う前倒し需要の反動により“厳しい四半期”となる見通しも指摘されています。また、低価格モデルの投入にもかかわらず販売が予想ほど伸びなかった点は短期的なリスク要因です。


まとめ:テスラは“自動運転企業”として再評価が始まっている

今回のシュティフェルのレポートが示すように、投資家が注目すべきポイントは「テスラがEVメーカーから自動運転・ロボタクシー企業へと変貌しつつある」という構造変化です。

  • FSDはすでに商用実績と明確な収益性を備えつつある
  • ロボタクシーは2026年以降の新しい利益エンジンになり得る
  • 基礎収益力は市場予想を上回るペースで拡大する可能性

短期的な逆風はあるものの、テスラの中長期的な成長ストーリーは、むしろこれから本格化する段階に入っています。


参考記事:MarketWatch “Tesla’s stock could climb by more than 25% as robotaxi efforts intensify, analyst says” By William Gavin(2025年11月17日)
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

*過去記事はこちら テスラ TSLA

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