米国市場に大きな動きがありました。11月17日のバロンズ等の報道によると、ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイが、Googleの親会社であるアルファベット(GOOGL)の株式を新規に取得していたことが判明しました。
これまでハイテク銘柄には慎重な選別を行ってきたバークシャーですが、このタイミングでの参入は何を示唆しているのでしょうか。公開された事実情報を整理しつつ、今後の投資戦略について考察します。
判明した事実:バークシャーの動き
米国証券取引委員会(SEC)への提出書類や報道で明らかになった主な事実は以下の通りです。
- 購入規模: バークシャーは第3四半期に約1,780万株のアルファベット株を取得。
- 評価額: 9月末時点での価値は約43億ドル(約6,500億円規模)。
- 市場の反応: このニュースを受け、17日のプレマーケットでアルファベット株は約5%上昇。
バークシャーの運用総額から見れば一部ではありますが、アップル(AAPL)などを一部売却してキャッシュポジションを高めていた同社が、「今、買うべき対象」としてアルファベットを選んだ事実は、市場にとって重要なシグナルとなります。
なぜ今、アルファベットが見直されているのか
今年、アルファベット株は「ChatGPTなどの生成AIに検索シェアを奪われるのではないか」という懸念から、他のMAGS(巨大IT企業群)に比べて割安な株価収益率(PER)で推移する場面が目立ちました。
しかし、ここに来て市場の評価が変わりつつあります。その要因として、一般的に以下の点が挙げられます。
- AIによる検索の強化: AIは検索の敵ではなく、検索体験を向上させ、クエリ(検索回数)を増やす要因になりつつあること。
- 圧倒的なインフラ投資: 数百億ドル規模のAIインフラ投資を行える企業は限られており、Googleはその筆頭であること。
- 規制リスクの織り込み: 反トラスト法訴訟に関する懸念が、最悪のシナリオ(強制的な解体など)を回避する方向で見通しが立ち始めたこと。
今週注目!「Gemini 3」リリースの噂
さらに、直近の注目材料として、Googleの次世代AIモデル「Gemini 3」のリリースが秒読み段階にあると言われています。
予測市場サイトPolymarketでは、今週中のリリース確率が一時90%を超えました。サンダー・ピチャイCEOもSNS上でこの話題に対して意味深な反応(考え込む絵文字など)を見せており、投資家の期待感が高まっています。
もし性能が市場の期待を上回れば、「AIにおけるGoogleの復権」を決定づける強力なカタリストになる可能性があります。
投資家はどう考えるべきか
以上の事実を踏まえると、今回の動きは以下のように解釈できます。
バークシャーの投資哲学は、「深い堀(Moat)」を持つビジネスを割安な時に買うことです。今回の購入は、「AI時代になってもGoogleの検索・広告ビジネスの優位性(堀)は崩れない」とバークシャーが判断したという強力なメッセージと受け取れます。
AIブームの過熱感が指摘される中で、相対的に出遅れていたアルファベットは、割安感のある選択肢と言えるでしょう。
短期的な株価変動にとらわれず、Googleが持つ「データ」「計算資源」「人材」という本質的な企業価値に注目するのであれば、今回のニュースは保有継続、あるいはポートフォリオへの組み入れを検討する一つの好材料になると考えられます。
*過去記事 アルファベット GOOGL
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