年末に向けて注目が高まる「タックスロス売り」銘柄7選。相場の歪みをどう活かすか

  • 2025年11月17日
  • 2025年11月17日
  • BS余話

米投資情報メディア「マーケットウォッチ」 は、毎年恒例となっているタックスロス売りによって割安になっている銘柄が増えていると報じています。タックスロス売りは、保有株の損失を他の利益と相殺するために行われる売却で、毎年10月までに実施されるケースが多く、株価は一時的に下押しされます。

2025年は相場全体が弱い展開となり、通常であれば11月に見られる反発(11月効果)が遅れています。特に、年初来で下落していた消費関連、食品、エネルギー、ITなどの銘柄は売られやすい状況にありました。

マーケットウォッチが紹介した主な銘柄は次の7つです。

ルルレモン・アスレティカ(LULU)
デッカーズ・アウトドア(DECK)
ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)
ホーメル・フーズ(HRL)
マタドール・リソーシズ(MTDR)
アドビ(ADBE)
セールスフォース(CRM)

出典:MarketWatch “This once-a-year tax-saving move has put these 7 stocks on sale”(2025年11月11日公開、15日更新)

タックスロス売りは株価の歪みを生む

タックスロス売りは、企業のファンダメンタルズとは無関係に発生する売り圧力であり、市場に一時的なミスプライシングをもたらすことがあります。つまり、短期間で株価が下がっていても、企業そのものに構造的な問題があるとは限らず、むしろ魅力的なエントリーポイントが生じるケースもあります。

この「ファンドの事情による売り」と「企業価値」のズレこそ、投資家が注目するポイントといえます。

事業の強さを維持している銘柄が多い

今回名前が挙がった7銘柄の多くは、企業基盤の強さを維持している点が特徴です。

ルルレモン・アスレティカやデッカーズ・アウトドアは競争環境の変化による影響を受けていますが、依然として高い利益率と財務健全性を保っています。アドビやセールスフォースはAIに対する懸念が株価に反映されていますが、実際にはAIを自社製品に組み込みながら成長余地を確保しています。

市場の悲観が過度に反映されている可能性がある銘柄が多いと考えられます。

業績改善の芽がすでに見え始めている銘柄も

ユナイテッド・パーセル・サービスはコスト削減やロボティクス導入を進めており、来期に向けて利益改善が期待されています。ホーメル・フーズは値上げやコスト管理が奏功し、来年以降の収益環境は改善方向にあります。

マタドール・リソーシズは先行投資の負担が嫌気されましたが、その投資が今後の成長に寄与するという専門家の見方も出ています。いずれも短期的な売り要因はあるものの、中期的視点では見通しが改善する余地がある銘柄です。

2025年の11月効果は“時間差”で表れる可能性

通常であれば、10月の売り圧力が消える11月は株価が戻りやすい傾向があります。しかし、2025年は市場全体の地合いが弱かったため、この動きが抑え込まれています。

ただし米企業の利益は改善傾向にあり、景気後退の予測も広がっていません。こうした環境を踏まえると、タックスロス売りで過剰に売られた銘柄が後から見直される可能性は十分にあります。

企業価値が毀損していない銘柄に対しては、需給の改善とともに評価が戻る流れが期待できます。

中期視点の投資戦略と相性が良い局面

今回挙げられた7銘柄はいずれも、短期的な売り圧力で株価が下押しされている一方で、企業の本質的な強さが維持されている点が共通しています。
タックスロス売りという特殊な要因による価格の歪みは、中期的な視点でポジションを積み上げる投資家にとって魅力的な環境です。

・割安で質の高い企業を狙いたい
・需給の歪みを利用したエントリーを考えたい
・短期リバウンドと中期保有の両方を検討したい

こうした投資スタンスと特に相性の良い局面となっています。

まとめ

タックスロス売りは毎年発生するイベントですが、2025年は相場全体の弱さが加わったことで、割安水準に放置されている銘柄が増えています。今回紹介された7銘柄は、企業の基盤の強さを維持しつつ、需給要因で一時的に価格が抑えられているものが目立ちます。

相場の歪みを活用することは、投資家にとって有効な戦略のひとつです。11月効果の遅れとともに、これらの銘柄が見直される局面が訪れる可能性もあります。

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