米メディア「マーケットウォッチ」がマイクロン・テクノロジー(MU)に関する以下の情報を報じています。
2025年11月13日、モルガン・スタンレーのアナリスト Joseph Moore 氏が、マイクロン・テクノロジー(MU)を“トップピック”に選定。
株価目標を従来の水準から325ドルへ引き上げ。年初来で180%上昇した後でも、さらなる上昇余地があると判断。
DRAM市場では深刻な供給不足が続き、スポット価格は年初から約3倍に上昇。契約価格も今後数四半期で最大2倍へ上昇する可能性。
アナリストは、マイクロンの1株利益(EPS)が10ドル超に達する可能性を指摘。これは2026年のウォール街コンセンサス(約4ドル台)を大きく上回る水準。
強気シナリオでは株価が420ドルに達する可能性があり、ベースケースの325ドルでも現在株価から約33%の上昇余地。
マイクロンは次世代HBM4の主要サプライヤーであり、安定したシェアを保持。最新の決算ではHBMの在庫が“完売状態”と報告されている。
(出典:MarketWatch “Why Micron’s stock is Morgan Stanley’s new top pick — even with its 180% rally this year” Nov. 13, 2025)
分析と考察:マイクロンの“再評価”が進む根本要因とは?
マイクロンがモルガン・スタンレーの“トップピック”に選ばれるのは、単なる業績回復やサイクル要因ではありません。今回の評価ポイントは、AI時代における「メモリ市場の構造変化」です。
DRAM価格の上昇は一時的ではない
DRAMのスポット価格はすでに年初比で3倍という異常な伸びです。契約価格も今後、数四半期で2倍になる可能性があります。
背景にあるのは、AIサーバー向けメモリ需要の急増です。生成AIモデルはGPU性能以上に「メモリ容量」がボトルネックになっているため、DRAMやHBMの重要性が急速に高まっています。
EPS10ドル超えは“構造的な稼ぐ力”の拡大
モルガン・スタンレーは、マイクロンのEPSが10ドル超に達する可能性を指摘しています。
これは従来のメモリ産業の常識からは大きく飛躍した水準で、AI需要の構造変化が利益モデルを根本から押し上げている証拠と言えます。
HBM市場での地位が長期成長を後押し
HBM(高帯域幅メモリ)はAI向けGPUの性能を左右する最重要部品です。
マイクロンはHBM4で安定したシェアを確保しており、最新決算では在庫が「完売」と報告されています。
これはAIインフラの拡大が続く限り、マイクロンに安定した収益源が生まれることを意味します。
投資家の懸念は“過去サイクルの記憶”によるもの
メモリ市場は景気敏感というイメージが強く、「価格がすぐ下落するのでは?」という慎重姿勢が市場に残っています。
しかし今回は、AI需要が供給を長期間上回るという構造的な変化が背景にあり、従来のサイクルとは異なる局面と言えます。
投資家にとっての示唆
今回の評価変更は、マイクロンが「サイクル産業」から「構造的成長産業」へ変化していることを示しています。
AIの普及が進むほど、DRAM・HBMの需要は指数関数的に拡大します。
メモリ価格の上昇はマイクロンの売上・利益に直結し、限られた競合環境も収益性を押し上げています。
市場がまだ慎重である今は、成長シナリオが株価に完全に織り込まれていない可能性もあります。
今後は、HBM4の生産体制、DRAM供給の増加ペース、AIインフラ需要の持続といった点が重要なチェックポイントとなります。
【出典】MarketWatch “Why Micron’s stock is Morgan Stanley’s new top pick — even with its 180% rally this year”Nov. 13, 2025
*過去記事「マイクロン株が年初来140%上昇 AIメモリ需要で勢い止まらず」
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