ディズニー株が急落した本当の理由とは?決算に見えた2つの問題

2025年11月13日のウォルト・ディズニー(DIS)の決算発表を受け、株価が急落しました。この決算内容について、米投資情報誌「バロンズ」は「ディズニー株が下落。決算報告書にあった2つの大きな問題」という記事で詳しく報じています。

バロンズが報じた決算の主要なポイントは以下の通りです。

【バロンズが報じた決算のポイント】

  • 業績: 売上は前年同期比0.5%減の224.6億ドルで、ウォール街予想(227.6億ドル)を下回った。
  • 利益: 調整後EPSは1.11ドルで、アナリスト予想(1.05ドル)を上回った。
  • 株価: 決算発表後、株価は8.9%下落して106.30ドルとなった。
  • 部門別:
    • エンターテインメント部門: 営業利益が35%減。テレビ広告収入と映画の興行収入が低迷した。
    • ストリーミング部門: Disney+の加入者が380万人増加し、市場予想(220万人)を大きく上回った。
    • テーマパーク部門: 営業利益が13%増加し、好調を維持した。

(出典: Barron’s “Disney Stock Falls. The 2 Big Problems in its Earnings Report.” Nov. 13, 2025)

本記事では、この報道内容に基づき、投資家目線で今回の決算が示す「2つの問題」、すなわち事業の二極化と短期的なリスクについて考察します。

事業構造の二極化が鮮明に

今回の決算では、ウォルト・ディズニーの事業が伸びる部分と低迷する部分に大きく分かれていることが明確になりました。テーマパークとストリーミングは好調で、一方で映画とテレビ広告が苦戦しています。映画は興行収入の落ち込み、テレビは広告市場の縮小が影響しています。従来の中心事業が構造的な逆風に直面し、新しい収益源へのシフトが進んでいると考えられます。

テーマパーク事業の好調は強いブランド力の証拠

消費が鈍化している経済環境でも、テーマパーク事業が13%の増益となった点は重要です。競合であるコムキャストが新テーマパークをオープンした中でも成長していることは、ウォルト・ディズニーのブランド力と価格決定力の強さを示しています。テーマパークはインフレ環境でも値上げを受け入れてもらいやすく、安定収益の源になりやすい事業です。

ストリーミング事業は収益性重視へ転換

Disney+は380万人の純増を記録し、市場予想を大きく上回りました。さらに、今後は加入者数の定期公表をやめる方針を示しており、短期的な数字の変動よりも収益性の向上を重視する姿勢が明確になっています。ストリーミング事業が黒字化モードに移行しつつあり、中長期の成長ドライバーとして期待できます。

株価急落は短期要因への警戒感の強さ

株価が約9%急落したのは、短期的な利益圧迫リスクに投資家が敏感に反応したためです。映画の不調による今期4億ドルの利益押し下げ見通し、テレビ広告の低迷などが不安材料となりました。これは構造改革中の企業が直面する典型的な反応であると考えられます。

投資家にとっての示唆

今回の決算は、ウォルト・ディズニーが収益構造の転換点にあることを示しています。映画とテレビの不調は続く可能性がありますが、テーマパークとストリーミングという成長事業が収益基盤として強まりつつあります。株価急落は短期の不安反応であり、中長期視点では企業価値に大きな変化が起きているわけではありません。投資家は短期的な数字よりも事業構造の変化に注目する必要があります。

(出典:Barron’s “Disney Stock Falls. The 2 Big Problems in its Earnings Report.” Nov 13, 2025)

*過去記事はこちら ディズニー DIS

🎧この記事は音声でもお楽しみいただけます。AIホストによる会話形式で、わかりやすく、さらに深く解説しています。ぜひご活用ください👇

最新情報をチェックしよう!