ネットワーク機器大手のシスコ・システムズ(CSCO)が、11月12日に2026年度第1四半期(8-10月期)決算を発表しました。
市場の注目が集まる中、結果は売上高・EPSともに市場予想を上回る好調な内容となりました。さらに、今後の業績見通し(ガイダンス)も市場予想を上回り、株価は時間外取引で上昇しています。
今回の決算のポイントと、なぜシスコが好調なのかを分析します。
注目すべき決算数値(2026年度 第1四半期)
まず、主要な「事実」としての数値を整理します。
- 売上高: 149億ドル(市場予想 148億ドル)
- 調整後EPS(1株利益): 1.00ドル(市場予想 0.98ドル)
売上高、EPSともに市場予想をクリアする堅実な結果となりました。
好調の要因は「AI」と「既存事業」の二本柱
今回の決算で注目すべき点は、シスコの強みが「AI関連」と「既存のネットワーク事業」の両方にあることが示された点です。
1. 強力なAIインフラ需要
チャック・ロビンスCEOが強調したように、AI関連の需要が業績を牽引しています。 特に、大規模なクラウド事業者(ハイパースケーラー)からのAIインフラ関連の受注額は、当四半期だけで13億ドルに達しました。これは、AIの学習や運用に不可欠な高速ネットワーク機器(カスタムチップ「Silicon One」搭載製品など)への需要が非常に強いことを示しています。
2. 既存事業の刷新サイクル
AIという新しい成長分野だけでなく、シスコの伝統的な中核事業も好調です。 CEOは、従来のオフィスやキャンパス(企業や大学の拠点)向けネットワーク機器について、「数年にわたる大規模な刷新サイクル」が始まっていると述べています。 これは、AI時代に合わせて企業が既存のインフラを見直す動きが加速していることを意味し、シスコにとって安定した収益基盤となっていることが分かります。
市場予想を上回る「強気な見通し」
シスコは、今後の業績見通し(ガイダンス)についても、市場予想を上回る強気な内容を示しました。
- 第2四半期 売上見通し: 150億ドル ~ 152億ドル
- (市場予想:146億ドルを大幅に上回る)
- 通期 売上見通し: 602億ドル ~ 610億ドル
- (市場予想:596億ドルを上回る)
AIと既存事業の両輪が好調なことから、今後の業績に対しても自信がうかがえます。
市場の反応と株主還元
この好決算と強気なガイダンスを受け、シスコの株価は時間外取引で一時7.5%上昇しました。
アナリストの見方も強気なものが目立ち、UBSはAI需要と既存事業のアップグレードサイクルを評価し、目標株価を88ドルへ引き上げています。(一方で、シティグループのように、スイッチやルーター分野での競争激化を懸念する声も一部にはあります。)
また、シスコは当四半期に自社株買い(20億ドル)と配当(16億ドル)を合わせて36億ドルを株主に還元し、1株あたり0.41ドルの四半期配当も発表しており、株主還元への積極的な姿勢も示しています。
出典: Cisco’s stock climbs as AI networking demand drives earnings beat (MarketWatch, Nov. 12, 2025)
*過去記事「シスコ決算速報:AIインフラ受注急増でも株価反応鈍い背景」
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