テスラ株は「AIへの期待」が先行? アナリストが指摘する収益化の課題

テスラ(TSLA)の株価は、もはや単なる電気自動車メーカーとしてだけでは測れなくなっています。イーロン・マスクCEOが打ち出す「ロボタクシー」や人型ロボット「オプティマス」といったAI戦略への期待が、その企業価値を大きく押し上げているからです。

しかし、これらのAI事業は、本当に現在の株価に見合う価値を生み出しているのでしょうか?

こうした中、米国の投資情報メディア「マーケットウォッチ」(2025年11月11日付)が、米トゥルイスト証券のアナリストによる興味深い分析を報じています。

既存事業の割合は「約2割」との試算

このレポートで注目すべきは、アナリストのウィリアム・スタイン氏が、テスラの現在の企業価値のうち、収益を生んでいる自動車・エネルギー事業が占める割合を「約22%」と試算している点です。

つまり、価値の約8割は、まだ本格的な収益化に至っていないAI関連の将来性への期待で構成されている、という見方です。

「実証されていない」AIプロジェクト

同氏は、テスラの株価評価が「非常に実証されていないプロジェクト」に依存しすぎているため、投資推奨が難しいと指摘しています。

  • FSD(自動運転): 期待される自動運転技術ですが、マーケットウォッチによれば、10月時点でFSDを購入している車両は全体の12%に過ぎません。
  • オプティマス(人型ロボット): マスクCEOは将来「テスラの価値の8割を占める」と発言していますが、スタイン氏は「While it’s a zero today...(今日では“ゼロ”だ)」と述べ、現時点での収益貢献がないことを明確にしています。

投資家はどう見るべきか?

テスラがAIに舵を切っていることは事実であり、そのビジョンが革新的なことも間違いありません。

しかし、今回のレポートは、投資家が「壮大なビジョン」と「足元の収益化」を冷静に切り分けて考える必要があることを示唆しています。AI戦略が規制の壁や技術的な課題、そして競合(アルファベット社のWaymoなど)との競争を乗り越え、本当に「実証」されるまでには、まだ相応の時間がかかる可能性がありそうです。

AIへの期待が先行する中で、その実現性と収益化の具体的なスケジュールを、投資家として冷静に見極めていく必要があることを今回の分析は明らかにしています。


参考記事: MarketWatch「As Tesla doubles down on AI, this analyst says its stock has gotten harder to recommend」(2025年11月11日)

*過去記事はこちら テスラ TSLA

🎧この記事は音声でもお楽しみいただけます。AIホストによる会話形式で、わかりやすく、さらに深く解説しています。ぜひご活用ください👇

最新情報をチェックしよう!