MPマテリアルズ株に再評価の波、ドイツ銀行が「買い」に格上げ

  • 2025年11月11日
  • 2025年11月11日
  • BS余話

AIやEV(電気自動車)、そして米国の経済安全保障――。あらゆる分野で重要性が高まる「レアアース(希土類)」において、米国の国内供給網の鍵を握るMPマテリアルズ(MP)が改めて注目を集めています。米中対立の激化により、「戦略素材」としての位置づけが一段と強まる中、ウォール街のアナリスト評価にも変化が見られます。

ドイツ銀行がMPマテリアルズを「買い」に格上げ

米投資情報誌バロンズ(2025年11月10日付)によると、ドイツ銀行はMPマテリアルズの投資判断を「ホールド」から「買い」へ引き上げ、目標株価を従来の68ドルから71ドルに上方修正しました。
評価の背景には、同社が「西側で唯一の完全統合型レアアース企業」である点があります。採掘から精製、磁石生産まで一貫した供給体制を持つ企業は他に例がなく、同社は中長期的にレアアース分野への投資機会を提供する銘柄と見られています。

さらに、MPマテリアルズは米国防総省(ペンタゴン)から支援を受け、国内でレアアース磁石の生産体制を整備しています。この国家レベルの支援が、同社の信頼性と戦略的重要性を高めています。

株価は好決算とともに反発、底打ちの兆し

この格上げを受けて、10日の同社株価は9%高の64ドルと大きく上昇しました(米国東部時間12:00現在)。先週末には第3四半期決算を発表し、損失が市場予想を上回る内容だったことも好感されました。直近1か月で25%下落していた株価は、反発に転じる動きを見せています。市場では「底打ち」への期待も広がっています。

MPマテリアルズは今年に入り309%上昇と高いパフォーマンスを示しており、アナリストの間でも再び強気の見方が優勢です。

米国の供給網戦略におけるレアアースの位置づけ

レアアース市場は現在、中国が世界の処理能力の多くを握っています。そのため、米国はサプライチェーンの中国依存を減らし、国内生産能力を強化する動きを進めています。
MPマテリアルズはまさにその中核に位置し、米国のレアアース供給網を支える重要な役割を担っています。

AIやEV、風力発電といった次世代産業の発展にはレアアースが不可欠であり、同社の存在は「経済安全保障」という観点でも極めて重要です。

アナリスト評価と今後の見通し

調査会社ファクトセットによると、MPマテリアルズをカバーするアナリストの約75%が「買い」評価を付けています。これはS&P500構成銘柄の平均(約55%)を大きく上回る水準です。
また、アナリストは同社のEBITDA(利払い前・税引前・減価償却前利益)が今後数年で大幅に成長すると予想しています。レアアースの需給逼迫や価格上昇も追い風となり、投資家の期待は高まっています。

米国が「戦略素材」を取り戻す動きの象徴

今回の格上げは、単なる企業評価の変更ではなく、米国が本格的に「戦略素材」の国内回帰を進めていることを示す象徴的な出来事です。AIやEVの普及に不可欠なレアアースの安定供給を確保することは、今後の国家戦略の柱の一つとなっています。

MPマテリアルズは、その中心的存在として今後も注目が続く可能性が高いと予想されます。地政学リスクの高まりとともに、同社の動向は投資家にとっても見逃せないテーマとなっています。


参考記事:Barron’s “MP Materials Stock Rises on Upgrade. Why the Analyst Sees a ‘Buying Opportunity.’” (Nov 10, 2025)

*過去記事「MPマテリアルズ株が12.9%急騰、レアアース市場に再評価の波

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