アンソロピック、AIビジネスで売上700億ドルへ爆進

  • 2025年11月10日
  • 2025年11月10日
  • BS余話

AIスタートアップのアンソロピック(Anthropic)が、2028年に売上最大700億ドル、キャッシュフロー170億ドルを見込む強気の業績予想を示しています。米国のテック系メディアであるThe Informationによると、同社は2025年に黒字化目前まで収益構造を改善し、2027年にはキャッシュフロープラスへ転じる見込みです。現在の年商は約47億ドルで、2024年比では10倍以上の成長を視野に入れています。

オープンAIを超えるAPI売上成長

アンソロピックは、企業向けに提供しているAIモデル「Claude」を通じたAPI販売が主力です。2025年には、オープンAIのAPI売上を約2倍上回ると見込まれています。企業ユーザーを中心とした安定した契約収益が同社の柱であり、全体売上の8割以上を占める構造が続くとしています。

また、同社の新サービス「Claude Code」は個人開発者向けのAIコーディング支援ツールとして急成長しており、年換算売上はすでに10億ドルに近づいています。2025年7月時点で4億ドル規模だったことを考えると、驚異的な伸びです。

資金調達と企業価値の急拡大

2025年9月、アンソロピックは総額130億ドルの資金調達を実施し、企業価値は1700億ドルに到達しました。3月のラウンド時点から約3倍の評価額となり、次回の資金調達では3000億~4000億ドルの評価が見込まれています。背景には、AIモデル運用効率の高さと、クラウドサーバーを提供するアマゾン(AMZN)やアルファベット(GOOGL)との関係強化があります。

収益性とコスト構造の改善

アンソロピックは2024年にマイナス94%だった粗利益率を、2025年には最大50%、2028年には77%へと改善する見込みです。非課金ユーザー分の運用コストを含めても、2028年の粗利益率は約75%とされています。これは典型的なソフトウェア企業の水準を上回る効率性です。

一方、競合のオープンAIは、より幅広い事業展開(広告、ハードウェア、ChatGPTのサブスクリプション)を目指していますが、2027年時点でも年間350億ドルのキャッシュバーン(資金消費)を見込むなど、投資負担の大きさが対照的です。

まとめ

アンソロピックは、Claudeシリーズを中心としたB2B戦略と効率的なAI運用コストで、オープンAIに次ぐAI業界の第二極として台頭しています。The Informationが報じた成長予測は、AIモデル提供企業の中でも特に持続的なビジネスモデルを持つことを示唆しています。今後の資金調達動向やClaude Codeの普及スピードが、AI市場における勢力図を大きく左右しそうです。

*過去記事「アンソロピックがグーグルと提携拡大 ブロードコムやアマゾンの関係は?

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