オンライン旅行大手のエクスペディア・グループ(EXPE)の株価が11月7日の米国市場で17.6%急騰し、過去最高値を更新しました。同社は人工知能(AI)を「競合ではなく共存のパートナー」と位置づけ、業績向上に活用していることが投資家の評価を集めています。
AIを積極導入し業績を押し上げ
エクスペディア・グループは、旅行予約サイト「エクスペディア」「Vrbo」「Hotels.com」などを運営しています。第3四半期決算では、売上・利益ともに市場予想を上回り、年間見通しも上方修正しました。特に総予約額は前年同期比11.7%増の307億ドルに達し、ファクトセットが集計したアナリスト予想(291億ドル)を大きく上回りました。
CEOのアリアーヌ・ゴリン氏は、AIが業績好調の主要因と説明しました。AIを活用したフィルター機能や宿泊施設のQ&A、レビュー要約、カスタマーサポートなどを導入し、ユーザーエンゲージメントを高めています。ゴリン氏は「AIの導入によって、顧客価値を向上させ、B2B事業や航空旅行分野の拡大を後押ししている」と述べました。
AIエージェントとの連携が成長を加速
エクスペディアは、アルファベット(GOOGL)やオープンAI、パープレキシティといったAIプラットフォームと提携し、旅行検索の新たな潮流に対応しています。これにより、ユーザーがAIを活用して旅行計画を立てる際にも、エクスペディアのブランドが常に可視化されるよう工夫されています。
メリウス・リサーチのアナリスト、コナー・カニンガム氏は「AIがオンライン旅行代理店の役割を脅かすとの懸念もあるが、現時点ではAIとの協業が利益成長をもたらしている」と分析しています。同氏は、エクスペディア株の目標株価を262ドルに据え置きつつも、「今回の決算とガイダンスの上方修正は無視できない」とコメントしました。
株価は3カ月で約38%上昇
エクスペディア株は過去3カ月で約37.7%上昇し、競合のブッキング・ホールディングス(BKNG)の株価が9.1%下落したのとは対照的です。S&P500指数が同期間に6.1%の上昇にとどまる中、エクスペディアの株価は大幅なアウトパフォームを見せています。2024年5月にゴリン氏がCEOに就任して以降、株価は128%以上上昇しました。
エクスペディアはAIを恐れるのではなく、積極的に共存し、事業の成長に結びつける戦略をとっています。この姿勢が投資家の信頼を得て、今後も同社の成長ドライバーとなる可能性があります。
*過去記事「米国旅行株が堅調!消費者マインド回復でラグジュアリー需要拡大」
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