モバイル広告プラットフォームを展開するアプラビン(APP)が11月5日、2025年第3四半期決算を発表しました。売上・利益ともに市場予想を上回り、時間外取引で株価は6.8%上昇しました。年初来ではすでに91%の上昇を記録しており、好調な業績とともに投資家の注目を集めています。
売上68%増、広告事業が成長をけん引
第3四半期の1株当たり利益は2.45ドルで、アナリスト予想の2.38ドルを上回りました。売上は14億1,000万ドルと前年同期比で68%増加し、こちらも予想の13億4,000万ドルを上回る結果となりました。営業利益率は59.5%とやや予想を下回りましたが、広告部門の成長が全体を押し上げています。
アプラビンは、第2四半期に自社のモバイルゲーム事業を売却し、利益率の高い広告プラットフォーム事業に経営資源を集中しました。この戦略転換により、成長率と利益率の両面で体質改善が進んでいます。
モバイル広告という“未開拓市場”で存在感
アプラビンの広告プラットフォームは、モバイルアプリ向けの広告配信に特化しており、特にモバイルゲーム分野では先行企業として知られています。デジタル広告の中でも成長余地の大きい領域でシェアを拡大しており、他社に比べて競争が緩やかな市場をリードしています。
この構造的な強みが、近年の高成長を支える主要因となっています。投資家の間では「モバイル広告の最後のフロンティア」と呼ばれることもあり、AIを活用した最適化技術にも注目が集まっています。
データ利用をめぐる報道と企業の反論
一方で、2025年に入ってから同社を巡る報道が相次いでいます。いくつかのショートレポートでは、アプラビンが「未承諾のアプリダウンロード」「未成年のデータ追跡」などを行っていると指摘されました。これらは事実であればアップル(AAPL)やグーグルのアプリストアの規約違反にあたる可能性がありますが、現時点で両社からの制裁は行われていません。
アプラビンの広報担当者は「これらの主張は虚偽かつ誤解を招くものであり、出所には経済的な利害関係がある」と反論しています。また、10月にはブルームバーグやニューヨーク・ポストが匿名情報を基にSECや複数州の司法当局が調査を行っていると報じましたが、同社は「いかなる州当局からも接触を受けていない」とコメントしています。
年初来91%高、逆風下でも株価は堅調
こうした報道により一時的に株価が下落する場面もありましたが、11月5日時点でアプラビンの株価は年初来91%上昇し、S&P500指数(SPX)の上昇率15%を大きく上回っています。市場では、広告事業の高成長とAI最適化技術の活用によって、今後も堅調な業績が続くとの見方が広がっています。
アプラビンは今後も広告ビジネスの拡大に注力し、モバイルアプリ市場の変革をリードする存在として注目されています。
*過去記事「アプラビン株が急落!SEC調査報道の衝撃とは?」
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