防衛テクノロジー企業アンドゥリル(Anduril)が、年間で8億〜9億ドルのキャッシュを使いながらも、投資家の注目を一身に集めています。最新の報道によると、個人投資家の中には直近の企業評価額305億ドルの約2倍の価格で株式を購入しようとする動きも見られるほどです。AIと防衛技術の交差点に位置するこの企業は、非上場市場で最も人気の高い銘柄のひとつとなっています。
二次市場での高騰と強気の評価
アンドゥリルの株式は、セカンダリーマーケットで急騰しています。個人投資家が支払っている価格は、スペースXやオープンAIを上回るプレミアム水準に達しており、需要の強さを物語っています。特に、ポッドキャスト出演などを通じた経営陣の露出が増えたことで、知名度と関心が一段と高まっています。
一部の投資家は「アンドゥリルはテスラとパランティアを掛け合わせたような存在」と評しており、その潜在的な成長力に期待を寄せています。収益の倍増見込みや防衛契約の拡大が、強気の見方を支えています。
アルファベット傘下のGVも参入
報道によれば、アルファベット(GOOGL)の独立系ベンチャーキャピタル部門GVも、今年アンドゥリルに3000万ドル超を投資しました。アルファベットは以前、「兵器など有害なAI技術は追求しない」としていましたが、その方針を見直し、防衛関連AI領域にも関与を広げています。
また、創業初期からの出資者であるファウンダーズ・ファンドは、これまでに累計約20億ドルを投資し、現在の持分価値は約60億ドルに達していると報じられています。
成長を支える巨額投資と軍需契約の狙い
アンドゥリルは、自社資金を活用して新製品開発や製造拠点の拡大を進めています。これは補助金に頼らない高コスト戦略ですが、長期的には米国防総省の大型契約獲得につながる可能性が高いと見られています。元ノースロップ・グラマン幹部で投資家のチップ・ウォルター氏は、「プログラム・オブ・レコード(複数年にわたる正式契約)を獲得すれば収益は非常に安定する」と述べています。
アンドゥリルは現在、無人戦闘機「Fury」や新たな兵器製造施設の建設にも資金を投入しており、まさに「攻めの成長戦略」を実行中です。
IPOへの関心と高まる期待
同社が上場する時期にも注目が集まっています。初期投資家であるラックス・キャピタルの共同創業者ジョシュ・ウルフ氏は、「アンドゥリルは今後1年以内にIPOする可能性がある」と発言し、時価総額500億ドル以上を見込む見方を示しました。これはノースロップ・グラマンやジェネラル・ダイナミクスの約3分の2に相当する規模です。
ただし、アンドゥリルのCEOであるブライアン・シンプフ氏は「急ぐ必要はない」として、慎重な姿勢を崩していません。上場よりも事業基盤の拡充を優先する方針を強調しています。
投資家の熱狂が示すもの
セカンダリーマーケットでの取引価格は既存の評価額を大きく上回り、70億ドル超の評価につながるケースも出ています。供給が限られている中で需要が急増しており、カプレイト社のCEOは「ここ2週間で買い手の意欲が一段と高まった」と語っています。
防衛技術とAIが交差する分野で急成長を遂げるアンドゥリル。市場では、テクノロジー主導の新しい軍需企業として、既存の防衛大手を脅かす存在になるとの見方も広がっています。
*過去記事「アンドゥリル、上場の意向を表明:防衛スタートアップの野心が明らかに」
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