アップル(AAPL)は2025年10月30日発表の第4四半期決算で、売上・利益ともに市場予想をわずかに上回りました。iPhone販売がアナリスト予想を下回った一方で、サービス事業やMac販売が好調で、時間外取引では株価が上昇しました。
売上・利益は予想超え、株価は史上最高値圏へ
アップルの第4四半期の1株当たり利益は1.85ドルで、予想の1.78ドルを上回りました。売上は1,025億ドルと市場予想の1,022億ドルをわずかに上回り、前年同期比で8%増加しました。通期の売上は初めて4,000億ドルを突破し、堅調な成長を示しました。
発表直後は株価が一時下落しましたが、その後のガイダンス内容が好感され、時間外取引では3%以上上昇し、280ドル台に到達しました。これは史上最高値更新となります。
ホリデー商戦に向けて強気なガイダンス
アップルは年末のホリデー商戦期にあたる第1四半期について、前年同期比で2桁成長を見込む強気な見通しを示しました。これは2022年以来の高成長予測であり、ウォール街の6%増という予想を大きく上回ります。会社側は売上成長率を6〜11%と見込み、iPhone 17シリーズや新製品群が売上拡大をけん引する見通しです。
サービス事業が過去最高、利益率を押し上げる
アップルの高収益部門であるサービス事業は、第4四半期に売上が前年同期比15%増の288億ドルとなりました。アナリスト予想の13%増を上回り、App Store、iCloud+、AppleCareなどが好調でした。サービス部門の粗利益率は75.3%と、全社の利益率を47%まで押し上げています。
Mac販売が好調、教育需要が後押し
第4四半期は新学期シーズンと重なり、Macの販売が好調でした。売上は前年同期比13%増の87億ドルとなり、予想の11%増を上回りました。学生需要の高まりが販売を後押しした形です。
新興国での成長が顕著、インドがけん引
ティム・クックCEOは決算発表の中で、インドや新興国市場での記録的な売上を強調しました。特にインドでは販売が急伸し、中東やアフリカを含む「ヨーロッパ」セグメント全体の売上を押し上げました。
中国市場は引き続き低迷
一方で、中国市場の売上は前年同期比4%減の145億ドルとなり、3%増を予想していた市場の期待を下回りました。通期でも4%減と、3年連続での減少となっています。
iPhone販売は供給制約で予想未達
iPhoneの第4四半期売上は前年同期比5%増の490億ドルでしたが、アナリスト予想の500億ドルには届きませんでした。アップルはiPhone 16および17の一部モデルで供給制約が発生したことが要因だと説明しました。
サプライチェーンと関税コストの影響
同社は第4四半期に11億ドルの関税費用を計上し、第1四半期には14億ドルへ増加する見通しを示しました。クックCEOによると、米中間の関税が20%から10%へ引き下げられたことで、さらなる負担増は回避できたとしています。
自社株買いと配当で「現金還元1兆ドル」目前
アップルは2025年度に配当で154億ドル、自社株買いで907億ドルを株主に還元しました。2012年以降の累計還元額は9,940億ドルとなり、2026年第1四半期には1兆ドルを超える見通しです。発行済株式数は2012年比で44%減少し、1株当たり利益を約78%押し上げる効果をもたらしています。
アップル製品の利用者数が過去最高を更新
CFOケヴァン・パレク氏は、「顧客満足度と忠誠度の高さがアクティブデバイス数の増加につながっている」と述べ、iPhoneやiPadなど主要製品すべてで利用者数が過去最高を更新したと発表しました。
この決算は、iPhone販売の一部鈍化を補う形でサービスやMac、新興国市場が成長を支えた内容でした。アップルは今後も高い利益率を維持しつつ、ホリデー商戦でさらなる成長を狙う構えです。
*過去記事はこちら アップル AAPL
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