燃料電池メーカーのブルーム・エナジー(BE)は、10月28日に2025年第3四半期決算を発表しました。調整後利益と売上が市場予想を上回ったことで、株価はアフターマーケットで21%急騰し、2025年の年初来では350%超の上昇となっています。AIデータセンター向けの電力供給企業として注目が高まっています。
売上・利益が市場予想を上回り投資家評価が上昇
調整後1株利益は15セントと予想の10セントを上回りました。売上も5億1,900万ドルと、予想の4億2,800万ドルを大幅に超過しました。標準会計ベースでは10セントの赤字ながら、成長への期待が強まり、投資家の評価につながっています。
同社は2025年の業績見通しを引き上げる方向性も示し、生産能力の増強を加速しています。
AI電力需要がビジネスを後押し
ブルーム・エナジーの燃料電池は、送電網(グリッド)に依存せず独立した電源として稼働できることが強みです。急激に拡大するAIデータセンターの電力需要に迅速に対応できるため、これまでクリーンエネルギー業界のサイクルに左右されてきた評価が一変しました。
エヌビディア(NVDA)を中心とするAI投資ブームによって、「電力不足」という新たなボトルネックが顕在化し、燃料電池の存在意義が改めて見直されています。
生産能力を大幅拡大:2026年に2GW到達へ
同社は2026年末までに2GW規模の燃料電池生産能力確保を計画しており、これは2025年売上の4倍を生み出せる規模ともされています。すでにオラクル(ORCL)、ブルックフィールド・アセット・マネジメント(BN)、大手電力会社AEPといった企業と協業しており、商用導入が加速しています。
期待先行リスク:110倍のPERと高い空売り比率
一方で、同社株には急成長を前提とした期待が大きく織り込まれています。予想2026年利益ベースのPERは110倍に達し、株価調整リスクを内包しています。また、空売り比率が約16%と高い水準にあるため、ボラティリティの高い銘柄といえます。
AIインフラの成長鍵は「電力」
AIデータセンター建設ラッシュにより、米国では深刻な電力供給不足が続いています。
・ガスタービンは2029年までフル稼働
・原子力は導入まで長期
・送電網整備は遅延
短期間で電力供給可能なブルーム・エナジーに資金が流入しているのは、こうした背景があるためです。AIインフラ銘柄の中でも「電力」という最も重要な分野に特化した企業として、今後も注目される展開が期待されています。
*過去記事「熱狂する米国株市場で「今」売るべき6銘柄とは?」
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