インテル(INTC)の株価が10月23日に発表した第3四半期決算を受けて上昇しています。売上が市場予想を上回り、同社は「需要の高まりに供給が追いつかない状況」ことを明らかにしました。これは、長らく低迷していた同社の業績が回復基調にあることを示すサインといえます。
売上と利益が市場予想を上回る
インテルの第3四半期売上は137億ドルとなり、ファクトセットがまとめた市場予想の132億ドルを上回りました。前年同期比では3%増加しています。また、調整後1株利益は23セントで、アナリスト予想の2セントを大きく上回りました。これにより、株価は23日の時間外取引で7%上昇しています。
インテルの企業企画および投資家向け広報担当副社長であるジョン・ピッツァー氏は、「新しいインテルに向けて4四半期連続で着実な進展を遂げている」と語っています。
新CEOリップ・ブー・タンの改革が進む
2025年3月に就任したリップ・ブー・タンCEOのもと、インテルは顧客のニーズに迅速に対応できる体制を整え、技術力の強化に取り組んでいます。同氏のリーダーシップのもと、同社はAI分野での立ち位置を見直し、再成長に向けた基盤を整えつつあります。
AI分野での巻き返しに向けた動き
現在のAI市場はエヌビディア(NVDA)やブロードコム(AVGO)が牽引しています。エヌビディアはGPU、ブロードコムは専用集積回路(ASIC)で優位に立っています。一方、インテルはCPUを中心に展開しており、AI革命の波に遅れたと見られてきました。
しかしピッツァー氏は「パーソナルコンピューティングとサーバーの両分野でAI需要を取り込む準備が整っている」と述べています。同社は現在、供給が需要に追いつかないほどの高い引き合いがあるとのことです。十分な生産能力があれば、さらなる売上拡大も期待できたとしています。
第4四半期見通しとアルテラ株売却の影響
インテルは第4四半期の売上を128億~138億ドルと予想しており、中央値はファクトセット調べのコンセンサス予想の134億ドルをやや下回ります。ピッツァー氏によると、この差は第3四半期にアルテラ株51%を売却した影響を反映していない「古いコンセンサス」によるものだと説明しています。
この売却により、インテルの現金保有額は300億ドルを超える見通しで、第2四半期比で約100億ドル増加する予定です。ピッツァー氏は「米国政府からの支援もあり、当社の戦略的重要性が再確認された」と述べました。
エヌビディアとの提携でx86アーキテクチャを再活性化
来年に向けて、インテルはx86コンピューターアーキテクチャの再活性化に注力しています。エヌビディアとのパートナーシップによって、クライアント製品とサーバー製品の両方の市場を拡大し、AI競争での存在感を高める狙いです。
リップ・ブー・タンCEOは決算説明会で「企業向け需要に応えるため、メモリと帯域を強化した推論最適化GPUを毎年投入していく」と発表しました。さらに、CFOのデビッド・ジンスナー氏は「エヌビディアの50億ドル投資は第4四半期末までに完了する見込み」と述べました。
ファウンドリー事業の進展と次世代プロセス
投資家が注目するのは、インテルの製造・設計能力の改善です。ピッツァー氏によると、最先端の18Aプロセスノードで「順調な進展」があり、アリゾナ州のFab 52施設はすでに完全稼働状態に入っています。さらに、PC向け「パンサー・レイク」チップも今期中に市場投入される予定です。
インテルはまた、次世代の14Aプロセスノードについても前向きな進展を報告しています。ピッツァー氏は「外部顧客からの初期フィードバックは好調で、18Aの開発段階よりも前倒しで進んでいる」と述べています。
まとめ
インテルは売上・利益の回復に加え、AIや製造技術の分野で再び存在感を取り戻しつつあります。エヌビディアとの連携や政府支援も追い風となり、同社は再び米国半導体産業の中心的プレーヤーとしての地位を固める可能性があります。
*過去記事「エヌビディアが解決するインテルの課題と、残された最大の問題」
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