テスラ決算発表で株価3%下落 マスク氏は強気姿勢を維持

電気自動車大手のテスラ(TSLA)は10月22日、2025年第3四半期の決算を発表しました。売上は過去最高を記録したものの、利益は市場予想を下回り、株価は時間外取引で3%近く下落しました。AIやロボタクシー事業への注目が集まる一方、利益率の低下が投資家心理を冷やしています。

利益率が悪化、営業利益は40%減少

テスラの第3四半期売上は281億ドルで前年同期比12%増となりましたが、営業利益は16億ドルと前年の27億ドルから約40%減少しました。1株当たり利益(EPS)は0.50ドルと、アナリスト予想の0.57ドルを下回りました。営業利益率は5.8%にとどまり、前年の10.8%から大幅に低下しています。

自動車の平均販売価格は約4万2,000ドルと、前期比でわずかに減少しました。値下げ戦略が販売台数の増加を支えた一方で、利益率を圧迫した形です。テスラの自動車販売台数は49万7,099台と過去最高を更新しましたが、粗利益率は15.3%に低下しました。

フリーキャッシュフローは堅調、投資余力を維持

一方で、フリーキャッシュフローは40億ドルと好調を維持しました。設備投資は22億ドルで、第2四半期の24億ドルから減少しています。テスラは引き続き、AIと自動運転分野に重点的に投資を続けています。

ロボタクシー事業と人型ロボット「オプティマス」に注目

決算説明会では、テスラの将来戦略としてAIとロボティクスに関する話題が中心となりました。イーロン・マスクCEOは、テキサス州オースティンで展開しているロボタクシーサービスについて、2025年末までに「安全監視員なし」での運行を目指すと述べました。現在、同社はオースティンで約25万マイルの無人走行を実施しており、今後は8〜10の大都市圏への拡大を計画しています。

また、マスク氏は人型ロボット「オプティマス」の量産準備を進めていることも明らかにしました。第1世代の生産ラインが設置中で、2026年に本格量産を開始する見通しです。オプティマスはAIによって動作するヒューマノイドロボットで、最新バージョン「2.5」では俳優ジャレッド・レトと共にカンフー動作を披露したといいます。

ビットコインで6200万ドルの利益を計上

テスラは第3四半期において、保有するビットコインで約6200万ドルの利益を計上したことも公表しました。同社は約1万1,000ビットコインを保有しており、仮想通貨の上昇が評価益に寄与しました。ただし、ビットコインの評価益は調整後利益には含まれていません。

株主投票を呼びかけるマスク氏、報酬問題も再燃

決算説明会の終盤では、マスク氏の報酬パッケージをめぐる議論も行われました。マスク氏は、株主に対して自身の「1兆ドル規模の報酬プラン」に賛成票を投じるよう呼びかけました。ISSやグラスルイスなどの助言機関が反対を推奨していますが、マスク氏はこれらを「企業テロリスト」と呼び、波紋を広げました。投票結果は11月6日の株主総会で発表される予定です。

テスラ株はAI依存型の相場に

今回の決算では、利益の鈍化よりもAI関連事業への期待が株価を左右しています。マスク氏が「ロボタクシー」「オプティマス」「自動運転AI」を強調する発言を繰り返したことで、テスラはもはや単なるEVメーカーではなく「AI企業」として市場で見られる傾向が強まっています。

しかし、利益率の低下や価格競争の激化という現実的な課題も残されています。投資家は今後のAI事業の具体的な収益化計画に注目しています。

*過去記事はこちら テスラ TSLA

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