動画配信大手のネットフリックス(NFLX)は10月21日、2025年第3四半期決算で予想を下回る利益を発表しました。ブラジルでの税務問題が一時的に利益率を押し下げた一方で、同社は広告事業や会員増加を背景に、成長が継続すると強調しています。
ブラジルの税務問題が利益を圧迫
ネットフリックスは、ブラジルでの6億1900万ドルに及ぶ税務訴訟により、利益が押し下げられたと説明しました。同社はこの問題が「今後の業績に重大な影響を与える可能性は低い」としています。
その結果、第3四半期の純利益は25億5000万ドルとなり、前年同期の23億6000万ドルからは増加したものの、アナリスト予想の30億1000万ドルを下回りました。1株当たり利益は5.87ドルで、予想の6.96ドルを下回っています。
売上は予想通り増加
売上は115億1000万ドルとなり、前年の98億3000万ドルから大きく増加しました。市場予想とも一致しています。ネットフリックスは、第4四半期も会員数の増加や価格改定、広告収入の拡大によって売上がさらに伸びると見込んでおり、通期売上を451億ドルと予想しています。
広告事業が急成長、今後の収益柱に
同社は広告事業で過去最高の四半期を記録したと述べ、今後も広告が成長の大きな原動力になるとしています。2022年後半に導入した低価格の広告付きプラン(7.99ドル)は、24.99ドルのプレミアムプランに比べて手頃な価格で新規ユーザーを引き付けています。
この広告モデルは「解約率の抑制」と「広告収入の拡大」という二重の効果を狙ったものです。現時点では全体収益に占める割合は小さいものの、今後数四半期で着実に拡大する見通しです。
コンテンツとライブ配信で会員増加を狙う
ネットフリックスは、世界的ヒットとなった「KPop Demon Hunters」をはじめ、豊富なコンテンツラインナップを展開しています。さらに、スポーツやライブイベントの配信にも注力しており、これが視聴者拡大の新たなドライバーとなる見込みです。
アナリストのパオロ・ペスカトーレ氏(PP Foresight)は、「一時的な費用の影響を除けば、非常に健全な四半期だった」と述べ、同社の成長基盤は揺るぎないとの見方を示しました。
2025年通期見通しと長期目標
ネットフリックスは通期営業利益率の見通しを30%から29%に引き下げましたが、これは為替の影響とブラジル税務問題を織り込んだものです。それでも、同社は2025年通期で堅調な成長を維持できると見ています。
長期的には2030年までに売上を倍増し、時価総額1兆ドル、会員数4億人、営業利益を3倍にするという野心的な目標を掲げています。
株価動向と市場評価
決算発表後、ネットフリックス株は時間外取引で6%下落しました。年初から約40%上昇していた株価は、6月末の最高値から約8.5%下落しており、過熱感を懸念する声も出ています。ただし、多くのアナリストは今後の広告収入拡大や新規会員増加を背景に、第4四半期以降の成長が続くと予想しています。
このように、ネットフリックスは一時的な税務要因による減益にもかかわらず、広告モデルの拡充とライブ配信戦略を軸に成長軌道を維持しています。中長期的な視点では、収益多様化が進む点が投資家にとって注目すべきポイントです。
*過去記事はこちら ネットフリックス NFLX
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