ウィリアム・ブレア証券は10月20日、注目するレアアース関連株を発表しました。トランプ政権が安全保障上重要と位置づけるレアアース(希土類)分野で、政府が今後も特定企業への出資を拡大する可能性があると伝えています。
米政府がレアアース企業に出資を拡大
ウィリアム・ブレアのアナリスト、ニール・ディングマン氏によると、米政府はすでにネバダ州のMPマテリアルズ(MP)、カナダのリチウム・アメリカズ(LAC)、トリロジー・メタルズ(TMQ)に出資しており、これらの株価は出資以降に倍増しています。レアアースは半導体や電池、軍需など幅広い産業で利用され、中国依存が高いことから米国は供給網の国内回帰を急いでいます。
ディングマン氏は「これらの株にはまだ上昇余地がある」と述べ、今後も追加の政府支援や出資が続くと予想しています。
注目される5つの関連銘柄
ディングマン氏が「次の政府出資先」として挙げたのは以下の5社です。
- ユナイテッド・ステイツ・アンチモニー(UAMY)
難燃剤などに使われるアンチモンを扱う企業で、防衛・輸送・半導体分野での重要性が高いとされています。株価は過去3カ月で約3倍に上昇。 - アメリカン・リソーシズ(AREC)
独自の分離・精製技術を持ち、レアアースをほぼ100%の純度で抽出可能とされています。政府関係者の関心も高まっています。 - USAレアアース(USAR)
テキサス州のラウンドトップ鉱山を保有する米企業で、政府と直接連絡を取っていることを明らかにしました。株価は3カ月で2倍超に上昇。 - ニオコープ・デベロップメンツ(NB)
米国内で新たな希土類元素を生産する3年契約に近づいており、政府が資金支援を行う可能性があります。株価は過去3カ月で3倍以上に上昇。 - MPマテリアルズ(MP)
すでに米政府が出資している企業で、トランプ政権の「製造業回帰」政策を象徴する存在です。
トランプ政権の狙いと中国リスク
トランプ政権は、中国がレアアースの輸出規制を強化する中で、サプライチェーンの安全保障を最優先課題としています。10月20日にホワイトハウスで行われた会談では、オーストラリアのアルバニージ首相と希土類供給協定を発表。総額85億ドル規模のプロジェクトを通じて、米国の資源確保を強化する方針です。
経済顧問ケビン・ハセット氏は「オーストラリアとの協力は、世界経済をより安全にし、中国によるレアアース依存リスクを減らす助けになる」と述べています。
まとめ
ウィリアム・ブレアの分析は、トランプ政権の産業政策と連動する「レアアース再興銘柄」の動向を示すものです。米政府が戦略的に出資を拡大するなか、関連企業の株価は短期間で大幅に上昇しています。レアアース分野は今後も米中関係や政策次第で大きく変動する注目テーマとなりそうです。
*過去記事「USAレアアースに「買い」評価 アナリストが語る成長の裏側」
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