バロンズが選ぶ電力危機対応株6選 次の成長テーマは「電力×AI」

2025年10月19日、投資情報メディアのバロンズは、「Electricity Prices Are Soaring. Six Stocks to Fix the Problem.(電力価格が高騰、問題を解決する6銘柄)」という記事を公開しました。この記事では、アメリカの電力料金が過去数年で急上昇している背景と、それに対応できる企業を紹介しています。

「痛みはガソリンからプラグへ」──電力価格高騰の現実

記事によると、米国都市部の平均電力価格は1キロワット時あたり19セントに達しており、2019年末から43%上昇しています。これは消費者物価全体の上昇率を18ポイントも上回る水準です。
かつてはガソリン価格が景気のバロメーターでしたが、今後は「電力料金」が経済と政治の新たな焦点になると、ウィリアム・ブレア証券のアナリスト、ジェド・ドルスハイマー氏は述べています。

背景にあるAIと再生可能エネルギーの負担

電力価格上昇の一因は、AI(人工知能)によるデータセンター需要の急増です。大量の電力を消費するAIサーバーが全米各地で稼働を始め、電力網への負担が高まっています。
さらに、製造業の国内回帰や、太陽光・風力といった変動性の高い再生可能エネルギーの導入拡大もコスト増を招いています。ドルスハイマー氏は「クリーンエネルギーを否定するものではないが、電力供給の安定性とのバランスが必要」と指摘しています。

「ベースロード電源」の重要性が再評価

記事では、電力網の安定化に向けて「常時稼働できる低環境負荷電源(firm power)」の重要性を強調しています。具体的には、原子力、天然ガス、そして蓄電技術が挙げられています。
ドルスハイマー氏は「ベースロード(基幹電源)はピーク電力より価値があるべきだ」と述べ、再生可能エネルギー偏重の政策に警鐘を鳴らしています。

バロンズが注目する6銘柄

バロンズは、電力安定化や新技術開発で注目される6銘柄を紹介しています。

  1. ドミニオン・エナジー(D)
     米バージニア州を拠点とする電力会社で、Commonwealth Fusion Systemsと共同で核融合発電の実用化を目指しています。
  2. GEベルノバ(GEV)
     ガスタービンや送電技術を手掛ける企業で、再生可能エネルギーと従来型電源の橋渡し役として注目されています。
    *過去記事「電力株の本命?GEベルノバ株が5倍高、AIインフラ需要で急成長中
  3. セントラス・エナジー(LEU)
     原子燃料の供給を行う企業で、次世代原子力技術への需要拡大が期待されています。
    *過去記事「米国の原子力政策転換で原子力関連株が急騰、エネルギー株に注目集まる
  4. オクロ(OKLO)
     小型モジュール炉(SMR)を開発する新興企業で、クリーンで持続的な発電を可能にする技術に注目が集まっています。
    *過去記事「AI電力銘柄に陰り?ブルーム・エナジーとオクロ株が急落した理由
  5. BWXテクノロジーズ(BWXT)
     原子力関連技術に強みを持つ企業で、米政府向け原子力システムの供給実績があります。
    *過去記事「NASAの月面原子炉計画でBWXT株が急騰!その理由と今後の展望
  6. テスラ(TSLA)
     電気自動車だけでなく、大規模蓄電池「メガパック」などのエネルギー貯蔵事業でも市場をリードしています。
    *過去記事 テスラ TSLA

ドルスハイマー氏は、上記5社(テスラを除く)に「買い」推奨を出しており、過去1年間でこれらの銘柄は平均376%上昇したとしています。

電力価格上昇は新たな投資テーマに

電力価格の上昇は、家計や企業にとって負担である一方、投資家にとっては新たなテーマになりつつあります。
AI、原子力、蓄電、再生可能エネルギーといった分野が複雑に絡み合い、「次世代エネルギー投資」の波が広がり始めています。記事は「正しいインフラ投資が実現すれば、家計にも経済にもプラスになる」と締めくくっています。

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