エヌビディア、ブラックウェルチップを米国で生産開始 TSMCが初のウエハー製造

エヌビディア(NVDA)は10月20日、人工知能(AI)向け半導体の新世代モデル「ブラックウェル」チップの製造を米国内で開始したと発表しました。主要サプライヤーである台湾積体電路製造(TSMC)が、同チップのウエハーを初めて米国で生産したことを明らかにし、市場ではこれを米国製造回帰の象徴的な一歩として評価する動きが広がっています。

米国生産開始で関税リスクを回避

今回の発表は、エヌビディアが米国内生産体制を強化することで、トランプ大統領が掲げる「製造業の再興」政策に合致するものです。ジェンスン・フアンCEOは声明で、「これはトランプ大統領の再工業化のビジョンの実現だ。製造を米国に取り戻し、雇用を創出するだけでなく、世界で最も重要な製造業と技術産業を国内に築くことを意味する」と述べました。

TSMCによる米国でのウエハー製造は、エヌビディアにとって関税リスクの軽減につながる可能性があります。これまで同社の先端チップは主に台湾で生産されてきましたが、今後は米国内の供給網強化により、政治的・経済的リスクを抑える狙いがあります。

AIブームと製造拡大への期待

20日午前の米国株市場では、AI関連銘柄が全体的に上昇しています。エヌビディアの株価は10時過ぎの段階で0.9%上昇し、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は2.8%高、ブロードコム(AVGO)は1%高と堅調に推移しています。

エヌビディアの株価は前週末に0.8%上昇して取引を終えましたが、過去5日間では2.7%下落しており、AI投資ブームがバブルかどうかを巡る議論が続いています。

バブル懸念を超える堅調な需要

マネーファームの最高投資責任者リチャード・フラックス氏は20日、「現在の環境は過去のバブルと似た点もあるが、根強い需要や高い収益性、そして現金創出力の高い企業が多い点は異なる」と指摘しました。AI関連投資が過熱しているとの見方がある一方で、実需が支えているとの見方も根強く、市場は慎重ながらも楽観的な姿勢を保っています。

エヌビディア株の今後の注目点

エヌビディアはAI半導体市場での圧倒的なシェアを維持しながら、地政学的リスクを低減するためにサプライチェーンの多様化を進めています。今回のTSMCによる米国内生産は、同社の戦略転換の象徴といえます。AI向けデータセンター需要の拡大が続く中、米国での生産能力強化は長期的な成長基盤を支える要素となりそうです。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

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