米メディア「マーケットウォッチ(MarketWatch)」の著名コラムニスト、マーク・ハルバート氏は10月18日付けの記事で、「インデックスファンドがウォール街のプロを凌駕してきた」という興味深い分析を紹介しています。記事によると、もし米国の大学や大学院が20年前に高額なファンドマネージャーを解雇し、単純に低コストの株式・債券インデックスファンドに資金を振り向けていたら、現在は4,680億ドルも資産が多かった計算になるといいます。
大学基金の実績とインデックスの比較
米国の大学基金(エンダウメント)は、ハーバード大学をはじめとする有名校が数十億ドル規模の資金を運用しています。しかし、2025年6月期までの20年間の平均年率リターンはわずか6.7%。一方、株式70%・債券30%のシンプルなインデックスファンドポートフォリオは、8.8%のリターンを記録しています。
つまり、複雑で高コストな運用を行うほど、リターンが低下しているという現実が浮き彫りになっています。
「分散投資」がリスク低減にならない理由
多くの大学基金は「オルタナティブ投資」と呼ばれる非公開資産(プライベートエクイティ、不動産、ベンチャーキャピタルなど)に資金の半分以上を振り向けています。一見するとリスク分散のように見えますが、ハルバート氏はこれを「ボラティリティ洗浄(volatility laundering)」と呼び、実際にはリスクが過小評価されていると指摘します。これらの資産は市場価格がつかず、年1回の評価で済むため、見かけ上は安定しているように見えるのです。
投資の教訓:シンプルが最強
この分析が示す最大の教訓は、「市場を長期的に出し抜くことは極めて難しい」ということです。しかも、最先端の知識とリソースを持つウォール街のエリートたちでさえ、長期的にはインデックス投資に勝てていません。
ハルバート氏は「他の分野で“何もしないこと”が最善の戦略になるケースはほとんどない」と述べ、投資の世界におけるインデックス戦略のユニークさを強調しています。
まとめ
インデックスファンドの優位性は、費用の低さだけでなく、感情に左右されない規律ある運用にあります。短期的な市場変動に惑わされず、長期で積み立て続けることこそが、最終的に“ウォール街の天才”たちを上回る結果を生むのです。
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