AIコーディングに反発するエンジニアたち:シリコンバレーで広がる「Cursorへの抵抗」

  • 2025年10月13日
  • 2025年10月13日
  • BS余話

AIがソフトウェア開発の現場に急速に浸透する中、一部のエンジニアたちはAIコーディングツールの利用に強い抵抗感を示しています。The Informationが10月11日に公開した記事では、スタートアップ企業Mixusで実際に起きた「AI拒否の反乱」から、シリコンバレー全体で起こりつつある技術者の分断を描いています。

AIツール導入をめぐる現場の摩擦

記事によると、AIコーディングツール「Cursor」などの導入を進める企業が増える一方で、「自分の手で書く方が正確で速い」と考えるエンジニアが一定数存在します。特に経験豊富なプログラマーほど、AIの生成するコードの精度や安全性に不安を抱いており、ツール使用を拒否するケースもあるようです。
一方、企業経営者側は「生産性の向上」や「コスト削減」を重視し、AIの積極的な利用を推奨しています。このギャップが現場の摩擦を生んでいます。

「AIスロップ」問題と品質懸念

AIコーディングツールの精度は向上しているものの、実務では依然としてバグや誤動作が頻発するとの指摘があります。特に、経験の浅いエンジニアやインターンがAIの出力をそのまま採用してしまい、後から修正に膨大な時間を要するケースもあると報じられています。
企業によっては、AIを使って書かれたコードを「AIスロップ(粗悪なAIコード)」と呼び、品質管理の課題として扱っているようです。

ベテランエンジニアの警戒感

高度なアルゴリズムやチップ制御のような領域では、1行のコードが性能に直結するため、AIに任せることが難しいと考える技術者も少なくありません。
記事では、米国のAI企業やロボティクス企業の例を挙げ、特にベテラン層のプログラマーが「AIでは最適化されたコードは書けない」と感じている現状を紹介しています。

若手と非技術職が支えるAI活用

一方で、プロダクトマネージャーや営業担当など、コーディングスキルが限られている人材にとって、AIコーディングツールは非常に有用です。
簡単なシミュレーションや自動化タスクを自分で作成できるようになり、意思決定や顧客提案のスピードが上がっているという報告もあります。

「自分の仕事がAIに奪われる」という不安

AIがコードを書く時代の到来により、多くのエンジニアが「自分の存在価値」を見つめ直す時期を迎えています。
記事では、ある開発者の言葉として「もしAIが優れたコードを書けるなら、人間の価値はどこにあるのか」という根源的な疑問を紹介。これは、ソフトウェア業界だけでなく、他の知的労働分野にも共通するテーマとなりつつあります。

まとめ:AIと人間の協調が新たな課題に

AIコーディングツールの普及は、確実にソフトウェア開発の構造を変えています。しかし、その過程で生まれる摩擦は「人間とAIの役割分担」という、より深い課題を浮き彫りにしています。
The Informationの記事は、こうした現場のリアルな声を通じて、AI時代におけるエンジニアの立ち位置を改めて問いかけています。

🎧この記事は音声でもお楽しみいただけます。AIホストによる会話形式で、わかりやすく、さらに深く解説しています。ぜひご活用ください👇

最新情報をチェックしよう!