量子コンピューター銘柄にバブル懸念?急騰相場の裏で広がるリスク

  • 2025年10月9日
  • 2025年10月9日
  • BS余話

2025年10月8日付のバロンズ記事「Quantum Stocks Look Like They’re Forming a Market Bubble. Watch Out.(量子株はバブルを形成しているようだ。注意せよ)」では、量子コンピューター関連銘柄の過熱感に警鐘が鳴らされています。

量子銘柄の急騰と現実とのギャップ

記事によると、リゲッティ・コンピューティング(RGTI)ディーウェーブ・クオンタム(QBTS)、イオンキュー(IONQ)クォンタム・コンピューティング(QUBT)の4社で構成される「ピュアプレイ量子銘柄」は、過去1年間で平均約4倍に上昇しました。
しかし、これら企業の売上はわずか3カ月で合計2600万ドル程度にとどまり、その一方で時価総額は合計で約550億ドルに達しています。これは、同期間に470億ドルの売上を上げた米自動車大手ゼネラル・モーターズを上回る水準です。

銘柄評価と市場の過熱

イオンキューはかつて「2030年までに黒字化」としていましたが、経営陣交代後にその目標は明確にされていません。リゲッティも利益目標を定めておらず、現状では市場の期待と話題性が株価を押し上げている状態です。
戦略アセットマネージャーズのCEOトム・ヒュリック氏は「現在のバリュエーションは現実から乖離している」とコメントし、短期的な投機熱が高まっている点を指摘しています。

バンク・オブ・アメリカとマッキンゼーの見通し

バンク・オブ・アメリカは、量子市場の潜在価値を2035年までに2兆ドル規模と予測。一方でマッキンゼーは280億〜720億ドルと、より慎重な見通しを示しています。
この大きな差が示すのは、技術の将来性に対する評価のばらつきです。記事では「火の発見以来の人類最大の革命」とまで表現される一方で、商業的実用化が進まず、期待先行の側面が強いとされています。

技術的課題と今後の展望

量子コンピューターは「量子ビット(キュービット)」を利用しますが、環境ノイズなどの外乱に非常に敏感で、誤り訂正が大きな課題です。
IBMなどの大手は2030年代に向けて「フォールトトレラント(耐障害性)」システムの実現を目指しており、商業利用が本格化するのは数年先とみられます。

投資家への警告

記事は、投資熱が続く中でバブルのリスクを警告しています。市場が過熱しすぎた際には、かつてのチューリップバブルのように急激な反動が起こる可能性もあるとし、「タクシードライバーが話題にし始めたら売り時」という格言を引き合いに、冷静な判断を促しています。


量子コンピューターは未来を変える可能性を秘めていますが、現時点では投資家心理が先行している側面が強いようです。今後、技術の進展と商業化の進度が、株価の正当性を問う重要な試金石となりそうです。

*過去記事「量子コンピューティング株が今注目される理由:アナリストが67%の上昇余地を指摘

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