2025年10月8日にバロンズが掲載した記事「The Gold and AI Rallies Expose a Major Rift in the Market」では、金とAI関連株という、まったく異なる2つの資産クラスの上昇が、市場心理の分断を象徴していると指摘しています。
金が4,000ドルを突破した背景
金価格は1オンスあたり4,000ドルを突破し、年初から50%以上上昇しています。背景には、米国の巨額債務(37兆ドル超)、ドル安、欧州や中東の地政学的リスク、そして世界各国の中央銀行による金購入の加速(今年は1,000トンを超える可能性)が挙げられます。
サクソバンクのコモディティ戦略責任者オーレ・ハンセン氏は「金の上昇は、旧来の金融秩序への信頼低下を映し出している」と述べており、投資家心理が「リスクフリー(安全資産)」よりも「トラストフリー(信頼不要)」を重視する方向に転じていると分析しています。
AI銘柄が市場を支えるもう一つの柱
一方、AI関連株は依然としてS&P500を押し上げる原動力となっています。エヌビディア(NVDA)やオラクル(ORCL)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)といった巨大テック企業が、指数の上昇分の半分近くを占めており、「AIバブル」との指摘がありながらも資金流入は止まりません。
記事では、AMDのリサ・スーCEOがオープンAIとの提携を「ポジティブな循環」と表現したことを紹介し、投資家がAIリーダーたちの楽観的な見方に信頼を寄せている現状を伝えています。
「信頼」と「不信」の相克
記事の核心は、「金は信頼の喪失を映す資産」であり、「AI株は信頼の上に成り立つ資産」という対比です。金投資家は政治的・経済的な不安に備える一方で、AI投資家は市場の主流に乗り遅れる恐怖からポジションを維持しています。つまり、どちらの動きも「恐怖」と「信頼」の裏返しであり、同じ市場でありながら異なる心理が交錯しています。
終わりに
この記事は、金とAIという2つの資産クラスが、異なる意味での「信頼」を映し出していることを浮き彫りにしています。AIは未来への信頼の象徴であり、金は現在のシステムへの不信の象徴です。どちらの潮流が正しいかは、今後の市場が証明していくことになります。
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