AIバブルを懸念する投資家へ:マーケットウォッチが提案する3つの戦略

  • 2025年10月6日
  • 2025年10月6日
  • BS余話

2025年10月4日、米投資情報メディア「マーケットウォッチ」が、AI相場に対して過熱感を抱き始めた投資家に向けて、今後のリスクに備えるための戦略を紹介しました。この記事では、AI関連株が市場をけん引する中で、ポートフォリオの安定性を高めるための3つの方策が解説されています。

AI相場はすでに「イージーマネー」の時代を終えた?

記事では、ベアードのマネージングディレクターであるテッド・モートンソン氏のコメントを引用し、「今のAI相場は全員がプールに入っている状態で、調整が来れば激しいものになる」と警鐘を鳴らしています。S&P500の上昇の大半がマグニフィセント・セブン(巨大テック7社)によって支えられている現状では、多くのポートフォリオがAIの盛衰に大きく左右される構造となっています。

戦略①:ビッグテック株の比率を減らす

最初の戦略は、AIブームの恩恵を受けてきたビッグテック銘柄への投資比率を調整することです。モートンソン氏は、株価が50日移動平均を割った場合、ポジションを15%程度減らすといったルールベースの利益確定が有効だと述べています。

グレンミードのマイク・レイノルズ氏は「現在のバリュエーションは、1〜2年での急速なAI投資回収を織り込んでおり、導入が遅れた場合にはリスクが高い」と指摘しています。特に、コアウィーブ(CRWV)のようなAIインフラ企業はビッグテックへの依存度が高く、設備投資が減速すればドミノ式に影響を受ける可能性があるとしています。

戦略②:フリーキャッシュフロー重視で選別

次に、企業のフリーキャッシュフローに注目する防御的戦略が紹介されています。AI分野での成長期待が過剰に織り込まれている中でも、健全なキャッシュフローを生み出している企業を選別することがリスク分散に役立つという考え方です。

具体的には、ファブレス半導体企業のクアルコム(QCOM)が注目されています。同社はスマートフォン向けチップに加え、自動車や産業分野にも進出しており、AIがエッジデバイスに浸透することで長期的な恩恵を受ける可能性があります。

また、セールスフォース(CRM)やワークデイ(WDAY)といったエンタープライズ向けソフトウェア企業も候補に挙げられています。これらの企業は、AI関連で過小評価されている一方で、安定したキャッシュフローを維持している点が評価されています。

戦略③:小型株への分散

3つ目の戦略は、大型テック株に偏重しがちなポートフォリオに、小型株を加えることで分散効果を狙う方法です。米連邦準備制度(FRB)が利下げを開始すれば、小型株は資金調達コストが下がり、より魅力的な投資先となると予測されています。

実際、ラッセル2000指数(RUT)構成銘柄では、足元での業績見通しの上方修正が増えており、バリュエーション面でも大型株や中型株より割安に取引されていると、記事は指摘しています。

本当の「バブル崩壊」は2027年以降か

モートンソン氏によると、AIインフラ投資の本格的な減価償却負担が始まるのは2027年以降であり、当面はバブルがはじける気配は薄いとのことです。しかしながら、短期的な天井感も強まりつつあり、今後の上昇局面では慎重な見極めが必要となりそうです。

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