クリーン水素の代表企業として知られるプラグ・パワー(PLUG)の株価が、2025年に入り大きく上昇しています。特に10月3日には一日で30%以上も上昇し、年初来では約80%の上昇率となりました。
アナリストが目標株価を大幅引き上げ
投資銀行H.C. Wainwrightのアナリストは、プラグ・パワーの目標株価を従来の3ドルから7ドルへと引き上げ、格付けも「買い」を維持しています。電力価格の上昇に伴い、グリーン水素がより競争力を持つ可能性があると指摘しました。
アナリストのアミット・ダヤル氏によると、「電力価格が引き続き上昇すれば、グリーン水素の価格競争力が高まり、導入が進む」との見解です。同氏は、プラグ・パワーの2035年の売上予測を従来の70億ドルから110億ドルへと上方修正しました。
売上は徐々に成長も、黒字化はまだ先
プラグ・パワーの2025年の売上高は7億1100万ドルと予想されており、2024年の実績見込み(6億2900万ドル)から着実に成長する見通しです。ただし、営業黒字化は2029年以降になると見られています。
市場全体の平均目標株価は2.33ドルと、今回の7ドルという目標とは乖離があります。実際、多くのアナリストはプラグ・パワー株に対して中立または売り推奨を出しています。
高い空売り比率が急騰を加速
プラグ・パワーの株式は空売り比率が非常に高く、流通株式のうち40%以上が空売りされている状況です。こうした状況では、株価が上昇すると空売りをカバーするための買い戻し(ショートスクイーズ)が発生し、さらに価格が押し上げられるケースがあります。
実際、ここ1ヶ月間で株価が2倍以上に上昇しており、ボラティリティの高さが際立っています。
企業活動にもポジティブな材料
プラグ・パワーはポルトガルのエネルギー企業Galp(ガルプ)に対し、10メガワット規模のGenEco電解装置アレイを初めて納品したと発表しました。これにより、2026年前半の稼働開始を目指すプロジェクトが進行しています。
UBSのアナリスト、マナフ・グプタ氏は「予定通り2026年前半にフル納品できれば、マーケットにとって前向きな材料となる」と評価しています。ただし、同氏は依然として中立評価(目標株価1.75ドル)を維持しており、同社の「実行力」が株価上昇の鍵になると見ています。
今後の注目点
プラグ・パワー株の急騰には、アナリストの強気予想と高い空売り比率が相まって、市場のセンチメントを一気に押し上げた背景があります。しかしながら、ファンダメンタルズ(業績)と株価水準の乖離には注意が必要です。実行力と黒字化への道筋が見えるかどうかが、今後の評価を左右することになりそうです。
*過去記事「水素関連株が急騰!共和党税制案でプラグ・パワーに追い風」
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