オープンAIの評価額が5000億ドルに到達、今後の課題とは?

ChatGPTの開発元として知られるオープンAIが、企業価値5000億ドルという一大マイルストーンに到達しました。ソフトバンクをはじめとする投資家への株式売却を通じて評価額が上昇したと報じられています。これは、わずか半年前の3000億ドルから急騰した形で、今やオープンAIは時価総額5000億ドルを超える世界で15社しかないエリート企業の仲間入りを果たしました。

しかし、評価額の急騰は同時に大きな期待とプレッシャーを意味します。高い成長性を織り込んだこの水準にふさわしい売上と収益性が求められ始めており、投資家の視線もより厳しくなっているようです。

投資回収よりも成長重視の姿勢が継続

S&Pグローバルのアナリストによれば、オープンAIや競合のアンソロピックに対する投資は、現時点で「投資回収より成長を優先している」姿勢が顕著だと分析されています。またJ.P.モルガンは、「利益が見込まれるのは2029年以降」との見通しを提示しながらも、オープンAIのエンタープライズ価値対売上倍率はメガテック企業を上回る水準であると指摘しています。

このような背景の中、オープンAIは収益化に向けた新たな施策を打ち出し始めています。

注目の収益化施策①:eコマースへの進出

オープンAIは、EC大手エッツィ(ETSY)と提携し、ChatGPT内から直接商品購入が可能になる「Instant Checkout」機能を発表しました。この機能では、ユーザーが会話中に商品を選び、そのまま決済まで完了できます。ユーザーは無料で利用でき、購入成立時に出店者から少額の手数料を徴収するモデルです。

この取り組みは、個人向けサブスクリプションに加え、B2B領域でのマネタイズ拡大を目指す動きとみられます。

注目の収益化施策②:広告ビジネスとソーシャルメディア

オープンAIは広告事業にも乗り出そうとしています。AI動画SNS「Sora」を中心に、検索結果への広告表示や動画内広告の導入が検討されており、新たな広告プラットフォームとして注目されています。

ただし、広告収益の本格化には課題も残ります。ユーザー体験や安全性に関する懸念をクリアすることが前提となり、Soraのエンゲージメント安定化も不可欠です。

AIエコシステム全体への影響も大きく

オープンAIの動向は、AIエコシステム全体に影響を与えています。J.P.モルガンやUBSは、ソフトウェアやインターネット関連銘柄に与える影響を注視しており、投資家が保有銘柄の見直しを迫られる可能性も指摘しています。

また、オープンAIはオラクル(ORCL)と提携し、4.5GW規模の新たなデータセンター(スターゲート・プロジェクト)を展開予定で、その投資規模は今後5年間で3000億ドルを超える見通しです。

加えて、エヌビディア(NVDA)はオープンAI向けに少なくとも10GW分のGPUシステムを提供し、1GWごとの提供に合わせて最大1000億ドルの追加投資を行う計画です。これにより、オープンAIのAIモデル訓練および推論運用が支えられることになります。

今後の注目イベント:10月6日のデベロッパーデー

オープンAIは10月6日に開発者イベントを開催予定です。ここでのプロダクト発表は、従来のソフトウェア投資家にとっても重大な意味を持ち、業界構造の変化を示唆する可能性があります。

オープンAIの5000億ドル評価が本当に正当化されるのか。それを占うのは、今後の収益化の実行力とAIインフラ整備の進展にかかっています。

*過去記事はこちら オープンAI

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