2025年10月1日、シーポート・リサーチ・パートナーズのアナリスト、ジェイ・ゴールドバーグ氏がアップル(AAPL)株を新たに「買い」推奨とし、目標株価を310ドルに設定しました。これは現在の株価(約255ドル)から約20%の上昇余地を示唆するものです。
iPhoneユーザーは「粘着性」が高いビジネスモデルの要
ゴールドバーグ氏は、アップルの最大の強みは「ユーザーの粘着性(stickiness)」にあると指摘しています。iPhoneを一度手にしたユーザーは、Apple MusicやAppleCareといったサービス、さらには他のApple製品を使い続ける傾向があります。現在、世界には約14億人のiPhoneユーザーが存在し、その利用はさらに10億台のAppleデバイスに広がっています。
サービス部門は第2の収益源に成長
iPhoneの販売台数が過去3年間で横ばいまたは減少傾向にある一方、アップルはサービス部門の拡大によってユーザーからの収益最大化を図ってきました。Apple MusicやAppleCareといった定額課金モデルが収益の柱となっており、同部門は同社にとって売上第2位のセグメントにまで成長しています。
また、iPhone自体の価格も上昇を続けており、最新のエントリーモデル「iPhone Air」は999ドルからの価格設定となっています。
iPhone17シリーズに期待されるアップグレード需要
JPモルガンが実施した消費者調査では、iPhone17シリーズの発売により、旧機種からのアップグレード需要が強くなるとの見通しが示されました。特に、性能やデザイン、カメラ機能の改善を理由に、より高価格帯モデルへの支持が強まっているようです。
一方で、AI機能に対する関心は前年よりも低下しており、購入理由としては7番目に後退しています。これは、iPhoneのAI機能がまだ決定的な魅力にはなっていないことを示唆しています。
残された2つの課題:AI戦略と中国依存リスク
ゴールドバーグ氏は、アップルが直面している2つの「本質的な課題」として、AI戦略の不透明さと中国依存による地政学リスクを挙げています。
特に、Siriの強化版AIチャットボットの遅れが投資家の懸念材料となっており、もし他社のプラットフォームの方が優れたAI体験を提供するようになれば、アップルの収益構造全体が揺らぐ可能性があると警鐘を鳴らしています。
また、中国に集中する製造拠点もリスク要因です。アップルは中国以外への製造分散を進めていますが、同時に中国市場での販売も維持しなければならないというジレンマを抱えています。現時点ではiPhoneが関税の対象から除外されているため最悪のシナリオは回避されていますが、状況は流動的です。
終わりに
iPhone17の販売動向は好調で、サービス部門も成長を続けるアップル。しかし、AIと地政学リスクという大きな課題にどう対応するかが、今後の株価上昇の鍵を握ります。株価20%上昇のポテンシャルがあるとはいえ、冷静な視点での分析が求められます。
*過去記事はこちら アップル AAPL
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