2025年第3四半期の米国株市場は、FRBによる年内初の利下げや、トランプ大統領による大規模な減税・歳出法案、さらには珍しい9月の株高など、投資家心理を後押しする要因が揃いました。S&P500指数は7.3%の上昇となりましたが、その中でも特にパフォーマンスが際立った銘柄、そして苦戦を強いられた銘柄を見ていきましょう。
ベストパフォーマンス銘柄
アプラビン(APP):急成長の新参企業
第3四半期のS&P500で最も上昇したのは、アプリ開発者向けに収益化ツールを提供するアプラビン(APP)です。指数への新規採用と好調な決算が重なり、株価は3カ月で104%も上昇しました。
ウエスタン・デジタル(WDC):データセンター需要が追い風に
ハードディスクドライブ需要の高まりを受け、データストレージ企業のウエスタン・デジタル(WDC)は株価が84%上昇。モルガン・スタンレーによる目標株価の引き上げも追い風となりました。
ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD):買収報道で急騰
エンターテインメント企業のワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)は、パラマウント・スカイダンスによる買収計画の報道により65%の上昇を記録しました。ただし、統合の行方次第では株価の変動もあり得るとの見方もあります。
シーゲイト・テクノロジー(STX):同業他社とともに急伸
ウエスタン・デジタルと並び、シーゲイト・テクノロジー(STX)もデータストレージ需要の波に乗り、四半期で57%の上昇。2025年通年でも167%のパフォーマンスとなっており、両社が投資家の注目を集めました。
コーニング(GLW):AIインフラの隠れた恩恵銘柄
かつてドットコムバブルの象徴だったガラスメーカーのコーニング(GLW)は、アップル向けの部品供給とAI向けデータセンター用の光ファイバー需要に支えられ、53%の上昇を見せました。
ワーストパフォーマンス銘柄
一方で、同じ指数に属しながらも株価を大きく下げた銘柄もあります。
ガートナー(IT):CEOの景気認識が株価を直撃
テクノロジー調査会社のガートナー(IT)は、CEOが「米国のCEOたちの景況感は景気後退レベルに近い」と発言したことで、36%の急落となりました。四半期中の同社株は過去3年で最低水準になっています。
モリナ・ヘルスケア(MOH):医療費の上昇が直撃
医療保険会社のモリナ・ヘルスケア(MOH)は、予想を超える医療費により通期ガイダンスを下方修正。株価は35%の下落となりました。
ファクトセット・リサーチ・システムズ(FDS):決算の期待外れで売られる
金融データ提供のファクトセット・リサーチ・システムズ(FDS)も、ガイダンス未達と期待外れの決算により35%の下落。
センティーン(CNC):医療費高騰で通期赤字転落
同じく医療保険大手のセンティーン(CNC)も35%下落。保険料に対する医療費の割合が急上昇し、第2四半期は赤字決算となりました。
アライン・テクノロジー(ALGN):インビザラインの需要減速
インビザライン製品で知られるアライン・テクノロジー(ALGN)は、資金調達環境の悪化やマクロ経済の不透明感が響き、売上・利益ともに市場予想を下回り、34%の下落となりました。
まとめ:セクターごとの明暗が鮮明に
2025年Q3は、AIやデータセンター関連のセクターが引き続き投資家の関心を集めた一方で、医療保険やコンサルティング、消費関連の一部には厳しい現実が突きつけられました。セクターごとの動向を見極めたポートフォリオ戦略が今後も重要となりそうです。
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