ナイキの業績発表:回復への道のりは「直線的ではない」

  • 2025年10月1日
  • 2025年10月1日
  • BS余話

2025年9月30日、スポーツ用品大手のナイキ(NKE)が2026年度第1四半期の決算を発表しました。売上高は117.2億ドルで前年同期比1%増と、事前予想の109.9億ドルを上回るサプライズとなりましたが、利益は前年同期から減少し、1株利益は49セントにとどまりました。

北米市場では売上がやや伸びたものの、自社店舗やeコマースの販売は減少し、コンバースブランドの売上は27%も落ち込みました。特に中国市場では売上が減少しており、引き続き厳しい状況が続いています。

ターンアラウンドは進行中、ただし道のりは平坦ではない

CEOのエリオット・ヒル氏は決算説明会の中で、「前進は直線的ではないが、方向性は間違っていない」と述べ、回復に向けた取り組みを強調しました。今回の四半期では、ランニングシューズ(VomeroやPegasusなど)のリニューアルや、キム・カーダシアンとの「Skims」コラボレーションを通じて、女性顧客へのアプローチ強化が奏功しつつあるとのことです。

また、ナイキの製品を扱う外部小売業者(例:アマゾン)の販売が好調である一方で、自社オンラインストアとスポーツウェア部門にはまだ課題が残っていると認めました。

通期見通しと懸念材料

2026年度第2四半期の売上は「低い一桁台のマイナス」を見込んでおり、関税コストの影響も拡大しています。具体的には、アメリカの輸入関税による年間の影響額が、従来予想の10億ドルから15億ドルに引き上げられました。これは利益率の悪化にもつながっており、第1四半期の粗利益率は42.2%に低下しました。

一部のアナリストは、今回の決算について「ナイキは失敗しなかったが、回復が確実とも言えない」という微妙な評価をしています。特に、中国市場での低迷や利益率の下落、自社チャネルでの販売苦戦といった点が警戒材料です。

株価は上昇も、依然として年初来ではマイナス圏

今回の決算発表を受けて、ナイキの株価は時間外取引で4%近く上昇しました。しかし、年初来では依然として7.9%の下落となっており、投資家からの信頼回復にはさらなる成果が求められます。

おわりに

ナイキはライフスタイル系スニーカーから、より競技志向の製品や高級感あるオンライン体験へと舵を切っています。新しいブランド戦略とパートナーシップ、商品ラインアップの刷新により、今後の回復がどこまで進むかに注目が集まります。

*過去記事「ナイキ株が急騰 「Just Buy It」――サッカーW杯を追い風にJPモルガンが格上げ

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