エレクトロニック・アーツが総額550億ドルで非公開化へ、サウジPIFなどが買収

  • 2025年9月30日
  • 2025年9月30日
  • BS余話

米国の大手ゲーム企業エレクトロニック・アーツ(EA)が、民間投資グループによる買収提案を受け入れ、非公開企業となることが発表されました。この取引は全額現金によるもので、企業価値はおよそ550億ドルに達します。

買収を主導するのはシルバーレイクとアフィニティ・パートナーズ

買収を主導するのは、テクノロジー系投資会社として知られるシルバーレイク、トランプ大統領の娘婿のジャレッド・クシュナー氏が率いるアフィニティ・パートナーズ、そしてサウジアラビアの政府系ファンド「パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)」の3社です。PIFはすでにEA株の9.9%を保有しており、今回の買収ではその持分をそのまま引き継ぐ形になります。

株主には1株210ドルの現金が提示される

EAの株主は、1株あたり210ドルの現金を受け取ることになります。これは、買収発表前の終値(168.32ドル)に対して25%のプレミアムが上乗せされた金額です。この発表を受け、EAの株価は9月29日の米国市場で一時5%上昇して203.03ドルまで上昇しました。

資金調達は現金+債務で

買収資金は、3社による現金出資約360億ドルに加え、JPモルガン・チェースが提供する200億ドルの債務によってまかなわれる予定です。取引完了は2027年度第1四半期が見込まれており、完了後もCEOのアンドリュー・ウィルソン氏が引き続き経営を担います。

今後のEAとゲーム業界の展望

EAは2025年1月に一部のタイトルの需要鈍化を理由に業績予想を引き下げ、株価が急落しましたが、その後の回復基調は堅調でした。2025年通年ではS&P500の上昇率を大きく上回る32%の上昇を記録しています。

注目されているのは、2025年10月10日にリリース予定の『バトルフィールド6』です。競合の『グランド・セフト・オートVI』が発売延期となったことで、EAの新作への期待感が高まっています。

サウジPIFの戦略的投資とは?

サウジアラビアのPIFは、石油依存からの脱却を目指す国家戦略の一環として、ゲーム分野への投資を強化しています。過去には任天堂への出資を行ったほか、アフィニティ・パートナーズにも設立直後の2021年に20億ドルを出資しています。

EA買収は、その一連の動きの延長線上にあると見られ、今後さらにゲーム業界の地殻変動が進む可能性があります。


このように、今回の買収劇は、単なるM&Aを超えた地政学的・戦略的意味合いも帯びています。EAが今後どのような方向に進んでいくのか、業界関係者や投資家にとって注視すべき動きとなりそうです。

*過去記事「2025年ゲーム市場の勝者はEAか?『バトルフィールド6』に熱視線

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