アマゾンの次なる成長エンジンは「食料品宅配」

2025年はAIが米テック大手の株価を押し上げた年ですが、その波に今ひとつ乗り切れていないのがアマゾン(AMZN)です。しかし、同社にはAIとは別の形での成長ストーリーがあります。それが「同日配送によるオンライン食料品事業の拡大」です。

4,000都市への同日配送、年内達成へ

アマゾンは2025年末までに、米国内の4,000を超える小都市や町での同日配送型の食料品デリバリーサービスを提供する計画です。これは、2025年7月時点の1,000都市から4倍の規模に拡大する野心的なものです。HSBCのアナリスト、ポール・ロッシントン氏はこの成長を受け、アマゾンの目標株価を260ドルに引き上げ、オンライン食料品の成長を「主要な株価材料」と指摘しています。

プライム会員との相乗効果で競争力を強化

アマゾンは全米に1億3,000万人超と見られるプライム会員基盤を持っています。これに同日配送型の食料品サービスが加わることで、注文頻度と平均取引額の増加が期待されます。

現在、米国のオンライン食料品市場ではウォルマート(WMT)が32%のシェアで首位、アマゾンは23%で2位に位置しています。しかし、ロッシントン氏は、アマゾンがこの分野でウォルマートを追い越す余地は十分にあると述べています。

食料品は薄利でも構わない理由

食料品事業は利益率が低いものの、アマゾンは高利益率の一般商品との組み合わせにより、競合他社に対してコスト面で優位に立てると分析されています。また、倉庫の自動化、在庫の最適配置、ラストマイル配送の効率化などにより、配送スピードは前年比30%向上、コストは低下しています。

フレッシュ食品市場での拡大期待も

モルガン・スタンレーのアナリスト、ブライアン・ノワック氏は、アマゾン株を「トップピック」と位置づけています。米国の生鮮食品・生もの市場は2026年に6,000億ドル規模に達すると予想されており、アマゾンがこの市場で1%シェアを獲得するごとに、同社の米国総取引額に120ベーシスポイントの成長寄与があると試算しています。

10月末の決算が注目のタイミング

アマゾンの第3四半期決算は10月末に予定されています。ロッシントン氏は、7月のプライムデーが成功したことを受けて、同社が再びガイダンスを上回る決算を出す可能性に期待しています。

まとめ

アマゾンの株価材料といえばAIが注目されがちですが、実はオンライン食料品こそが次の成長ドライバーである可能性が浮かび上がっています。ウォルマートとのシェア争いに注目が集まる中、今後の投資判断の重要な視点としてチェックしておきたいテーマです。

*過去記事はこちら アマゾン AMZN

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