2025年現在、米国市場では「配当利回り+値上がり余地」の両方を備えた銘柄を見つけるのが難しくなっています。S&P500の平均配当利回りはわずか1.2%と、過去20年以上で最低水準に近い状況です。特に、いわゆるマグニフィセント・セブン(巨大テック株)が指数を牽引していることで、無配当や低配当の銘柄が中心となっているのが現実です。
そんな中、モーニングスターが「5年連続で配当を増やしており、競争優位性がある企業」をスクリーニングし、かつ現在の株価が理論的な公正価値(フェアバリュー)よりも割安な10社をピックアップしています。
酒類メーカーに注目:コンステレーションとブラウン・フォーマン
リストに入っているのは、コロナビールやモデロを展開するコンステレーション・ブランズ(STZ)と、ジャックダニエルで知られるブラウン・フォーマン(BF.B)です。
ブラウン・フォーマンは2025年に株価が約30%下落し、6月の決算発表後には15%も急落しました。しかし、2027年以降には利益が回復するとの見方があり、現在の株価は予想PERで過去10年で最も割安な水準(16倍)にとどまっています。配当利回りは3.4%で、モーニングスターのフェアバリュー評価は40ドル。これは現在価格の27ドルに対して50%近い上昇余地があるとされています。
ナイキも割安?今こそ逆張りのチャンスか
スポーツ用品大手ナイキ(NKE)もスクリーニング対象に入っています。業績不振が続いているものの、2027年には利益回復が期待されており、長期視点での保有に妙味があります。現在の株価は約69ドルで、モーニングスターのフェアバリューは104ドルとされています。配当利回りは2.3%です。
その他の注目銘柄
この他にも、以下のような企業がリストに含まれています。いずれも連続増配を続け、健全な財務体質と競争優位性を兼ね備えています。
フォーチュン・ブランズ・イノベーションズ(FBIN)
キッチン・バス用品やセキュリティ製品などの家庭向け耐久消費財を手がける米国企業です。Moen(水栓)、Master Lock(南京錠)などのブランドを保有しています。
アルベマール(ALB)
リチウムや臭素などの特殊化学品を扱う大手メーカーです。EV用バッテリー向けのリチウム供給で世界トップクラスのシェアを誇ります。
イーストマン・コダック(KODK)
かつて写真フィルムで有名だった企業で、現在は商業印刷、化学、医療イメージングなどへ事業を転換中です。知的財産と専門技術を活かした再成長を模索しています。
コムキャスト(CMCSA)
米国最大級のケーブルテレビおよびインターネットプロバイダーです。Xfinityブランドで知られ、NBCユニバーサルなどのメディア事業も展開しています。
オムニコム(OMC)
グローバル広告代理店グループの一角で、BBDO、DDB、TBWAなどのブランドを傘下に持ちます。マーケティング、PR、デジタル広告など幅広いサービスを提供しています。
エレバンス・ヘルス(ELV)
旧アンセム社で、米国の大手健康保険会社です。医療保険の提供を中心に、ヘルスケア関連のデジタルソリューションなどにも注力しています。
マーケットアクセス・ホールディングス(MKTX)
機関投資家向けの電子債券取引プラットフォームを運営しています。米国債や社債の電子取引の普及に伴い、急成長しているフィンテック企業です。
配当+値上がり益を狙うなら注目の10銘柄
今回のモーニングスターのスクリーニングは、単に配当利回りが高い銘柄というだけでなく、割安感と将来の利益成長力を重視した内容となっています。株価上昇と配当収入の両取りを狙いたい長期投資家にとって、有望な候補となりそうです。
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